SAP Business Suite 7の保守期限が2025年に訪れ、今後、既存ユーザーはSAP S/4 HANAへの移行が大きな課題となる。また、SQL Server 2008 R2の延長サポートが2019年7月、Windows Server 2008 R2の延長サポートが2020年1月までとなっており、こちらのアップグレードへの対応も必要だ。これらの問題にInfosysはどう対応するのか、7月31日にプレス向けに説明された。
Infosysのインド本社でバイスプレジデント 兼 SAP製造部門 デリバリ・ヘッドを勤めるプラヴィン・クルカルニ(Pravin kulkarni)氏は説明会において、「グローバルで6-7万のSAPユーザーがおり、このうち2000ユーザーが移行を完了し、8000ユーザーが移行中のため、残り5-6万のユーザーが移行を検討する必要がある」と、SAPのマイグレーション市場の大きさを説明した。
同社にはすでにグローバルで40ほどのマイグレーションの事例があるといい、クルカルニ氏は「これまで40のプロジェクトを手掛けており、あらゆる種類のマイグレーションに対応できる。HANAもリリースから時間が経ち成熟してきたので、マイクぐレーションも容易にできる」と自信を見せた。
同氏が同社の差別化ポイントと挙げたのが、移行ツールだ。同社では、評価と作成、調査実現・導入の各フェーズにおいて独自の移行ツールを提供しており、これらを移行ツールを利用することで、マイグレーションを容易できるという。
「今後はHANAへの移行がSAPビジネスのコアがなる。ここ数年で企業買収も進めており、新しいスキルも獲得し、独自のツールも提供している」(プラヴィン・クルカルニ氏)
同氏は説明会の中で、今回のサポート切れ問題をマイナス要因として捉えるのではなく、プラス要因と考えるべきだと訴えた。
「S/4 HANAに移行することで、IoT、ブロックチェーン、クラウド、AI、アナリティクスなどの最新のテクンロジーを利用できる。テクノロジーを使うことで、インテリジェントなデジタル組織に変革できる」(プラヴィン・クルカルニ氏)
Infosys 日本代表 大西俊介氏は、今年の4月のインタビューの中で、注力する領域としてSAPを挙げ、次のように語っていた。
「日本におけるSAPのお客様は、まだそれほど多くありませんが、現在、SAP市場は活況を帯びています。本社には、海外企業向けを中心に15,000人ほどのコンサルタントがおり、これらの人材を日本市場で活用し、仕事を取っていきたいと思います」(大西氏)
31日のラウンドテーブルで大西氏は「SAP S/4 案件数が昨年度比で300%、SAPのコンサルタント数は50%増加しており、中核のSAPとオラクルのビスネスをあわせると売上の30-40%になる。今後はSAPのビジネスをもっと伸ばしていきたい」と好調なSAPビジネスを背景に抱負を語った。
同氏は、日本法人の目標として、SAPビジネスを2020年までに2.5倍の50億円程度まで拡大すること、2020年までにインドのオフショアを活用したS/4 HANA migration Factoryモデルを確立することの2点を挙げた。
そのために必要となるのが、エンジニアの確保だという。
採用では、中途採用の面接数は、媒体告知前の3-4倍に増えているほか、新卒採用も開始。また、インドのエンジニアの日本語教育も開始しており、今年は15名、来年は30名、再来年は55名、計100名のエンジニアにトレーニングを行うという。
大西氏は、エンジニア不足を解消するための施策として、これまでグローバルで蓄積してきたインド本社のノウハウの活用を挙げた。そのために、これまでの要件定義から始める日本をマイグレーションやり方を変えていく必要性も指摘し、「SIerの背中を押し、マイグレーション仕方を変えていく」と語った。