デジタルマーケティングソリューションを提供するトレジャーデータは、5月22、23日の2日間、「働き方」をテーマに、東京虎ノ門でプライベートイベント「TREASURE DATA “PLAZMA” TORANOMON」を開催した。PLAZMAイベントは年4回開催予定で、虎ノ門は丸の内に続いて2回目の開催となる。今後、六本木と渋谷で開催される予定だ。
23日のキーノートでは、アクセンチュア 通信・メディア・ハイテク本部 シニア・マネジャー 矢野 一路氏が、「デジタル化の未来と求められる営業・マーケティング変革」と題して、顧客・消費者のデジタル化、それに伴う消費者の購買行動が変化する中で、それに対して企業はどのように取り組むべきかを講演した。
矢野氏がまず紹介したのは、同社が行った「2018 デジタル消費者調査」について。この調査は、2017年10月から11月にかけて、世界19カ国の消費者21,000人を対象に行ったもので、デジタル機器に対する消費者の認知度やコンテンツとサービス、購買パターン、各サービス事業者に対する好みと信頼度、およびコネクテッド(インターネットに接続された)なライフスタイルの未来などを数量化している。
それによると、消費者の期待としては、「スマートスピーカーによるデジタルとリアルを融合した新しい顧客体験」、「シンプルで魅力的なオンデマンド動画体験」、「拡張現実や仮想現実(AR/VR)体験」、「自動運転」の4つが高いという。
「スマートスピーカー」は、日本での普及はまだまだだが、矢野氏は「新しいタッチポイントになっており、スマホを脅かす存在になっている」と述べた。
実際、デジタル消費者調査では、スマートスピーカー所有者の2/3が、スマホの利用が減ったと回答。スマートスピーカー利用者は、パーソナライズされた音声アシスタントへの評価が高く、自分の好みの音楽が聴ける、話かけることで調べたいことが調べられる点に、とくに利便性を感じているという。
動画については、日本はとくに自分見たい動画に対してお金を払いたいという傾向が強く、自分の好みでない動画を提案されることや、自分好みの動画を探すことに対して、大きな負荷を感じているという。
矢野氏は「消費者は自分を理解してくれることに価値を感じている」と指摘した。
AR/VRはゲーム利用するケースが多いが、それ以外の用途として、洋服のフィッティングや家具の配置、スポーツ観戦での利用に対する期待が高いという。
これらの調査結果を踏まえ矢野氏は、「企業は、リアルとデジタルを融合した新しい顧客体験の構築、機能差ではなく、パーソナライズすることによる高い価値の提供、顧客体験全体を踏まえたマネタイズポイントの設計が必要だ」とした。
こういった顧客の購買行動の変化はBtoB領域においても現れており、顧客が営業に会う前にWeb上で情報を収集し、実際に営業に会う時点では、すでに購買意思を固めているといった変化があり、矢野氏は自社サイトの情報が判断の大きな鍵になるとした。
このような変化を受け、サービス業の4割、製造業の3割がデジタルマーケティングへの取り組みを開始しているが、その成果となると、まだ、一部の企業にとどまっているという。
こういった課題に対して矢野氏は、情報収集を含めると多く人が購買行動に関わっており、それらを含めた合意形成が必要な点、顧客は製品やサービスの機能差だけでなく、導入時の作業量がどれくらい発生するのかや、投資に対するリターンがどの程度得られるのか、さらに、ビジネスの継続性なども重視しており、これらに対する情報提供も必要だとした。
また、成果が出ない要因として、マーケティングツールをスポット的に導入することが多く、その場合、機能的に抜けが出るケースがため、必要最低限なツールをパックなどで導入し、それを拡張していくやり方がいいとアドバイスした。
そのほか、営業とマーケティング部門で、求めるリードの質にズレが発生しているケースがあるため、売上目標から逆算し、そのために営業がどのようなリードをどれくらい必要なのかを算出して、それを獲得するためにマーケティング施策として何をすればよいのか導き出すといった具合に、逆引きで検討することがいいとアドバイスした。