FRONTEOは5月7日、金融庁が2017年9月に設置した「FinTech実証実験ハブ」において、AI(人工知能)を用いた支援案件に採択されたことを発表した。
今回、金融庁が推進する“国民の安定的な資産形成と顧客本位の業務運営"(フィデューシャリー・デューティー)や、金融業界における人材の課題や働き方改革の促進に対して、同社が独自開発した人工知能のKIBITがどの程度貢献できるかを、三菱UFJ銀行、りそな銀行、横浜銀行、SMBC日興証券が参加金融機関として協力し、5月から6月末まで実験を行う。
現在、金融機関では営業員が日々大量の「金融商品販売時の応接記録」を書くほか、電話で顧客から多くの意見、申し出などがあり、それぞれ記録されている。金融機関は顧客の満足度やサービス向上のために、これらの膨大な記録を時間と人手をかけて確認しているが、人的リソースの不足や業務負荷、人により判断にバラつきが出るなどの課題が生じているという。
FinTech実証実験ハブは、金融庁においてFinTechを活用したイノベーションに向けたチャレンジを加速させる観点から、昨年9月にFinTech企業や金融機関などが、前例のない実証実験を行おうとする際に抱きがちな躊躇・懸念を払拭するため設置。
実証実験は(1)実験内容と論点が明らかであること(明確性)、(2)サービスの実現によって我が国における利用者利便や企業の生産性の向上が見込まれること(社会的意義)、(3)実現しようとするサービスに革新性が認められること(革新性)などが実施の要件となる。
金融庁では、実験を通じて整理されたコンプライアンスや監督対応上の論点、一般利用者に向けてサービスを提供する際に生じ得る法令解釈に係る実務上の論点について、継続的な支援を行うこととしている。
実証実験では記録の確認を人のみで行った場合と、KIBITがスコアリング(点数付け)し、優先順位を付けた場合での生産性や作業の標準化率、検出精度などを定量的に比較測定する。
テーマは、現行の「人のみによる確認方法」と「KIBITを活用した確認方法」との業務生産性の比較試験。対象業務は銀行と証券となり、銀行は投資信託などの金融商品販売時の営業応接記録のチェック業務、証券は通話録音記録からの顧客の意見・申し出のチェック業務となる。
今回の取り組みは、都市銀行や地方銀行、証券会社など600以上の金融機関が抱える共通の課題に対応するものであり、実証実験を通じて得られた結果を活かすことで、業務の負荷軽減や高度なチェック業務の実現、働き方改革の実現など、社会的課題の解決につながるものだという。