また、司法界からの要求も高かったいう。

そもそもAOSリーガルテックは、警察や検察からデータ復旧を頼まれ、それを復元するという事業に取り組んできた。

テレビのニュースでよく家宅捜索のシーンが放映されることがある。ダンボール箱を抱えた捜査員が資料を次々とクルマに運ぶあの光景だ。だが、紙の資料は押収できても、HDDなどのデータを消されたらお手上げだったそうだ。そこで、同社がデータ復元作業を手がけたという。

そして近年、司法はIT化が叫ばれるようになった。これまで、準備書面や訴状といった紙書類を用意し、それを提出して裁判というのが日本の司法だった。だが、電子データによる提出を推進することで、当事者の負担を軽減しようという動きが盛んになってきた。

AOSデータルームのUI。フォルダカラム、メインカラム、サムネイルカラム、ツールカラムとなっており、日本語表記なのでわかりやすい

ところがだ。こういうと批判を受けそうだが、弁護士のなかにはまだITに対してのスキルが弱いという方々も少なからずいる。そうした方々でも文書共有できるツールとして期待されているのがバーチャルデータルームで、同社はわかりやすいUIとセキュアな環境を両立する「AOSデータルーム」を開発した。

こうした経緯を考えれば、AOSリーガルテックという社名に合点がいく。リーガル(法律)+テック(技術)というワケだ。

一般企業でも高そうなニーズ

ただ、司法や官庁だけでなく、一般企業でもニーズが高そうだ。たとえば、個人情報を多く扱う会社、司法紛争を抱えている会社などでもセキュアな環境でのデータ共有は必要なのは間違いない。

連絡やデータ共有手段に海外のツールを使用しているという企業は多いだろう。だが、英語表記によりUIに迷うことがあったり、場合によってはデータを盗まれたりしているという。データ共有をセキュアに行うことは、取引先との信頼関係向上につながり、フェイス・トゥ・フェイスのつきあいも円滑になるはずだ。