東京ビッグサイトでは4月4日から6日までの3日間、「コンテンツ マーケティング EXPO」や「コンテンツ配信・管理 ソリューション展」「映像・CG制作展」など、全7展から構成されるコンテンツビジネス総合展「コンテンツ東京2018」が開催された。
コンテンツ制作や映像・CG制作・グラフィックデザインなどのソリューションを手がける1540社が集結し、企業のビジネス拡大をサポートするサービスを展示。3日間合計で4万2594人が来場した。
本稿では、企業のマーケティング手法として定着しつつある「動画」に関するソリューションにフォーカスして、いくつかのブースを紹介する。
"クソ"の次は"タテヨコ"。神風動画が提案するメディアの新たなカタチ
アニメーションの制作を手がける神風動画のブースでは、ひときわ目を引く「巨大クソみくじ」が設置されていた。横向きのディスプレイを回転させて縦向きにすると、画面が切り替わり、表示のシャッフルが始まる。スマートフォンなどで画面を撮影すると、タイミングによって写る内容が変わるというデモだ。
世間からは(いい意味で)"クソアニメ"と評価されている『ポプテピピック』のアニメーションを手がけた神風動画。ブースでも同作のキャラ「ポプ子」と「ピピ美」が暴れていた。
ただし、同社が紹介していたサービスは、クソみくじそのものではない。デモのように、スマートフォンの縦と横を切り替えることで再生内容が変わる「タテヨコ」の動画だ。
タテヨコは、端末に内蔵されたジャイロセンサーと縦横ムービー切り替え技術によって、動画再生中でもスマートフォンの向きを変えるだけで、スムーズに2パターンある映像を切り替えることができるサービス。スポーツの試合や音楽ライブを異なるアングルから視聴したり、説明付き動画の映像部分と説明部分を切り替えてチェックしたりといった使い方ができそうだ。
ブースでは、縦と横で異なる声優のパートに切り替わるポプテピピックの映像や、アングルの異なる犬の散歩映像を視聴できるテスト端末が置かれていた。
『スプラトゥーン2 ハイカライブ』を成功に導いたモーションキャプチャ技術
モーションキャプチャを活用した映像制作を行うスパイスは、バーチャルYouTuber「natsu」のパフォーマンスを披露していた。
ブースでは、ディスプレイに映し出された女性キャラ「natsu」が、司会者とコミュニケーションを図りながら、常に動き回っている。「かわいいポーズをとって」と言われると、「はーい」と言いながらポーズを決めるのだ。
これを実現しているのは、リアルタイムに動きを伝えるモーションキャプチャ技術。ディスプレイの裏側にはモーションキャプチャの装置を取り付けた女性スタッフがおり、その動きをトレースして映像に表示しているというわけだ。指先までリンクした動きは、ぎこちなさがあまりなく、自然な"人間らしさ"を感じた。
同社は、2018年2月のゲームインベント「ニコニコ闘会議 2018」で実施された、ゲームキャラクターがライブパフォーマンスを行うという『スプラトゥーン2 ハイカライブ』にも携わっている。最大4キャラクターが30分間パフォーマンスを続けるバーチャルキャラクターのライブでも、キャプチャシステムを利用することで、それぞれのキャラクターが持つ個性を表現できていた。特に、イイダさんの楽器さばきは見ごたえ抜群だ。
映画監督による"本物の1本"が企業のブランド価値を向上させる
映画祭の企画・運営などを手がけるパシフィックボイスのブースでは、「ブランデッドムービー」と呼ばれる1~5分ほどの企業向けブランディング動画のソリューションを紹介していた。
同社の制作するブランデッドムービーは、5~30秒ほどで情報を流すだけの一般的なCMとは異なり、国内外の著名な映画監督やクリエイター、俳優などを起用した、ストーリー性のある"ショートフィルム"だ。制作期間は4~5カ月。完成した作品は、Web上での配信をはじめ、映画館で「シネアド」として配信することもできる。特にシネアドでは、視聴者の85%がCMを記憶しており、70%が商品・サービス内容まで深く理解しているという調査結果も出ているという。
心に刺さる動画でブランドを構築したいと考えている企業は少なくないのではないだろうか。多くの動画メディアが乱立する現代において、オーディエンスの心を揺さぶるのは、場数を踏んだプロが生み出す"本物の1本"なのかもしれない。