最後に上山市で営業する「さくら亭」にて、クアオルト弁当をいただいた。低カロリー、栄養バランス、塩分等に配慮し四季折々の季節感を味わえる内容となっている。低カロリーとはいえども食べ応えがあり、山形県名物のいも煮もいただくことができた。こうしてクアオルト体験は終了した。

  • 左:さくら亭のクアオルト弁当。右:山形名物のいも煮

さて、クアオルトを巡っては、企業の視線が集まり始めている。2016年に太陽生命保険が「上山型温泉クアオルト活用包括的連携に関する協定書」を締結したのを皮切りに、2017年には損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険が健康経営の一環としてクアオルトの活用を発表した。

東京海上日動もクアオルトを活用

そしてさらに、2018年に東京海上日動が上山型温泉クアオルト活用包括的連携協定を締結した。山形銀行が立会人となり、経済産業省・環境省が後押しするという布陣だ。ちなみに東京海上火災は健康経営銘柄認定企業で、こうした企業と上山市の連携は初となる。

締結式に臨む(左から、東京海上日動 専務執行役員 財部剛氏、山形県上山市長 横戸長兵衛氏、山形銀行 取締役頭取 長谷川吉茂氏

こうした保険を扱う企業がクアオルトに熱視線を送るのはなぜか。それは顧客の健康を扱う業務を主体とするからだ。生命保険といえば、契約者が疾病したり万が一のことがあったりした際に保険金が支払われる仕組みだが、健康でいることに越したことはない。生命保険の社員がクアオルトに参加することで健康への意識を高め、それを顧客に伝えようという意図だ。東京海上日動は損害保険のイメージが強いが、生命保険にも参入している。しかも同社は最大手で、1万7,000人以上の従業員を抱える。そうした従業員がクアオルトを利用することは、健康だけでなく地域経済の活性化にもつながる。

さらに、保険業は個人だけではなく法人にも商品提案をする立場。保険商品の提案時にクアオルトの話題に触れれば、福利厚生として興味を持つ人事・総務担当者が出てくる可能性も考えられる。クアオルトが日本に導入されておよそ10年。これまでは、知る人ぞ知る健康療法だったが、ここにきて潮目が変わってきたといえよう。