コンカーは3月6日に記者向けの発表会を開催し、米国に次ぐ2つ目のイノベーション創出拠点として「Concur Labs Tokyo」を設立したことを発表した。世界に向けた日本発のイノベーションと新しいワークスタイルの可能性を探求していく。

何も価値を生まない業務を取り除くことが目標

米国本社では2016年にConcur Labsを設立。従来の顧客ニーズからサービス開発を行うアプローチから、先進的なテクノロジーとアイディアを組み合わせたイノベーション主導のサービス開発に切り替えることで、ビジネスパーソンや企業の出張・経費管理における新しい顧客体験の創出に取り組んでいる。

今回、ビジネスパーソンの低迷する労働生産性の向上と働き方改革に対する需要の高まり、急成長する日本市場の出張・経費管理の需要に応えるべく、日本でConcur Labs Tokyoを設立するに至った。

Concur Labs Tokyoで所長を務める上田順平氏

Concur Labs Tokyoで代表を務める上田純平氏

Concur Labs Tokyoで代表を務める上田純平氏は「生産性の低迷や労働人口の減少といった課題から、日本は世界的に見ても働き方改革に対する意識が高い。そのような環境に市場をけん引するリーダーが加わることで、変革を生み出すことができるのではないかと考えている。そして、SAP Concurがそのリーダーとなるべく、今回Concur Labs Tokyoを設立した」と設立の経緯を説明する。

Concur Labs Tokyoのビジョンは"The Expense Report That Writes Itself"。直訳すると"自律型の経費精算システムの作成"だが、上田氏は"経費精算業務をなくす"という意味であるとし、「何も価値を生まない業務を取り除くことを目指したい」と目標を掲げた。

Concur Labs Tokyoでは、コンサルティングサービスを行うミライロと協業して、ユニバーサルデザインを意識したハッカソンなどを実施していく予定だ。

2018年の事業戦略は「間接費改革のさらなる普及」

また、発表会ではSAP ConcurのChief Revenue OfficerであるScott Torrey(スコット・トリー)氏とコンカー 代表取締役社長の三村真宗氏が登壇し、事業の戦略について述べた。

  • SAP ConcurのChief Revenue OfficerであるScott Torreey(スコット・トリー)氏

    SAP ConcurのChief Revenue OfficerであるScott Torrey(スコット・トリー)氏

  • コンカー 代表取締役社長の三村真宗氏

    コンカー 代表取締役社長の三村真宗氏

スコット・トリー氏は「日本は経費精算においてアメリカやヨーロッパから少し遅れている状態だが、急速にキャッチアップしている。たとえば、昨年はJR東日本とコラボレーションすることで、鉄道を使った経費精算が便利になった。今後もタクシーや航空会社と協業することで、出張者の利便性を向上させていく予定だ。また、Concur Labs Tokyoが、最先端の技術から新しいサービスの創出を行うことで、日本のワークスタイルの変革に貢献していきたい」と、日本市場にでの展望を述べた。

三村氏は「領収書電子化の規制緩和や働き方改革の具体策などの要因もあり、2017年は新規契約額は前年比で74%の成長を記録した。2018年は4つの軸において、現在行っているコア事業に加えて新たな戦略事業についても取り組んでいく」と今後の事業戦略について触れた。

  • 4ディメンション戦略

    4ディメンション戦略

同社は4つの成長戦略のうち、ソリューション戦略では「従業員経費」「ベンダー経費」「出張費」という3つの要素から構成される間接費改革を打ち出しており、それぞれで「Concur Expense(従業員経費)」「Concur Invoice(ベンダー経費)」「Concur Travel(出張費)」というクラウドサービスを提供している。

2018年にはConcur Expenseの新機能として、スマホの位置情報をもとに自動車の走行距離を自動で産出して経費明細を作成する「Concur Drive(2018年Q2リリース予定)」、予算消化状況と利用経費レポートを詳細表示できる「Concur Budget(2018年Q2リリース予定)」、日本企業の要件に特化した「日本版標準BIレポート(2018年3月リリース予定)」をリリースする予定だ。

また、Concur InvoiceではExpenseと同時利用することで、Concur Budgetによる共通基盤での予算管理ができるようになり、e文書 for Invoiceで電子化に対応できるという。これにより「支払先に関係なくすべての支出・間接費を最適化できる」と、三村氏。さらに、出張に関するTravel事業については、経営者のコスト削減・生産性改善から始め、「日本のビジネストラベルマネジメントに夜明けをもたらしたい」と三村氏はビジョンを述べる。そのために、従業員リスク管理の新バージョン「Concur Locate」、旅程管理機能「Triplt Pro」の製品を投入する予定だ。

  • ソリューション軸の戦略

    ソリューション軸の戦略

  • Expenseの新機能

    Expenseの新機能

  • Invoice事業のビジョン

    Invoice事業のビジョン

  • Travel事業のビジョン

    Travel事業のビジョン

セグメント戦略としては中堅中小企業への参入を始めている。契約金額では14%程度にとどまっているが、契約件数では6割を占めるほどまで成長しているという。

チャネル戦略として、同社は2017年は85社との契約を結んだ。「我々のエコシステムは着実に拡大している」と三村氏。また、SAPの顧客リレーションを活用した連携が進んでいるという。

働きがいのある企業No.1の新オフィスを大公開

発表会でスコット・トリー氏は「日本法人は急成長を遂げており、売り上げは昨年から74%増加。マーケットシェアは42.9%と、3年連続でNo.1を獲得した。また、ビジネスの成長とともに社員数も増えている。働きがいのある会社ランキングでは、中規模部門で第1位を獲得。女性部門でも第3位を獲得している。これはすばらしい文化・チーム・環境をコンカージャパンで作っている証拠だ」とコンカージャパンの働き方・企業文化を讃えた。

働きがいのある企業No.1に選ばれた企業のオフィスとはいったいどのような空間なのか。発表会では新オフィスも公開されたので、その一部を紹介しよう。

エントランスでは大きなロゴマークとディスプレイがお出迎え。クライアントエリアは旅を感じることがコンセプトで、会議室には各国の空港名が付けられている。Concur Labs Tokyoはリラックスしてアイデアを生み出せるようなソファが特徴的だ。

  • オフィスエントランス

    オフィスエントランス

  • エントランスに設置されたディスプレイ

    エントランスに設置されたディスプレイ

  • 会議室の内部

    会議室の内部

  • 会議室の名前

    会議室の名前

  • Concur Labs Tokyo

    Concur Labs Tokyo

執務エリアは「Boundless Workstyle」がテーマ。ラウンジテーブルやオープンなミーティングルームも多く、社員同士でコミュニケーションを図りながら仕事を進めることができそうだ。フリーアドレスのゾーンでは、空港の搭乗口のような番号が割り振られており、どのチームがどのあたりで作業しているかがだいたいわかるようになっているという。

  • 執務エリアの入り口

    執務エリアの入り口

  • フリースペース

    フリースペース

  • フリースペースのエリア番号

    フリースペースのエリア番号

  • オープンミーティングスペース

    オープンミーティングスペース

  • 広々とした空間

    執務エリアは広々とした空間