アクセンチュアは1月31日、記者向けの説明会を開催し、複数のAIエンジンを一元管理できる「AI Hubプラットフォーム」を開発したことを発表した。
「AI Hubプラットフォーム」は、複数のAIエンジンから最適なエンジンを組み合わせ、人間のオペレーターと協調することもできるプラットフォーム。幅広い業種において、顧客向けのサポート窓口や社内向けの事務手続き問い合わせ窓口、営業のアシスタントなどさまざまなシーンで活用することができる。
アクセンチュア デジタル コンサルティング本部 マネジング・ディレクターの保科学世氏は「世の中にはさまざまなAIがある。実際我々がプロジェクトで使っているAIの会社は200以上。シーンに応じてどの技術をどう使うべきなのか判断する知見を持っているが、プロジェクトごとに200以上あるAIエンジンを組み合わせていくことは明らかに効率が悪い。そこで、それらのAIエンジンを束ねるプラットフォームを開発した。シーンや用途に応じて人間とAIを組み合わせることができ、社内外の情報からAIが学習し進化する環境を提供する」と、同プラットフォームを開発した背景を説明した。
近年ユーザーは、電話やメールだけにとどまらず、チャットコミュニケーション、スマートスピーカーなどさまざまな方法で問い合わせなどを行えるようになった。しかし、それぞれのチャネルで別々の対応をしていては、企業として一貫したデジタルサービスができていない状態といえる。企業のデジタルカルチャーを体現するようなサービスを提供するためには、1つのまとまったプラットフォームが必要なのだという。
なお、同社ではすでに「Randy-san」と呼ばれる、社内手続きなどの問い合わせをサポートする社内コンシェルジュにAI Hubを導入している。会社で使っているSkypeからアクセスし、出産に関する手続きや社員向け英語学習トレーニングについてチャットで質問すれば、適切な答えを返してくれるという。
「アクセンチュアではコンサルタントの生産性改善に力を入れている。AI Hubの機能としては一部しか活用していないが、24時間365日いつでも問い合わせできることもあり、本業に専念できるようになったと感じている。なお、Randy-sanでは複数のAIエンジンの中から、NTTコミュニケーションズのCOTOHAを利用している」と、保科氏。
また、会見ではコミュニケーションツールLINEを用いたデモも実施した。「今日の予定を教えて」とLINEに話しかけると、Google Calendarから自分の予定を表示。次に「アクセンチュアは何の会社ですか」と聞いたところ、「すみません、よくわからなかったので言い方を変えていただけますでしょうか?」と返ってきた。これに対して「アクセンチュアについて学習して」と声をかけると、学習を開始し、意味ネットワークに記憶された後でもう一度「アクセンチュアは何の会社ですか」と聞くと、「アクセンチュアは、ストラテジー、コンサルティング、デジタル、テクノロジー、オペレーションズの5つの領域でサービスを提供する総合コンサルティング企業です」と回答してくれた。
そのほか、LINEを通じて、撮影した領収書の写真を送付するだけで経費精算を行うデモや、位置情報から周辺の飲食店情報を検索するデモ、社員と行う会議スケジュール調整と会議室を予約するデモなどを紹介してくれた。デモはすべて異なるAI、APIサービスが使われているが、AI Hubで統合されることで、LINEという1つのインターフェースから統合されたAIサービスとして提供できるというわけだ。
最後に保科氏は「労働人口が不足している日本こそAIを活用していかなければならないし、真っ先にサービスを導入しなければならないという環境にある。また、高品質なサービス品質による学習機会を得ることができるのも日本の特徴。そして、高いデバイス開発力をもつこの国で、AI Hubを活用した優れたサービスを提供していきたい」とAI Hubに込めた想いを述べた。