日本マイクロソフトは1月23日、都内で記者会見を開き、2020年1月にサポートを終了する「Windows 7」と、同10月にサポートを終了する「Microsoft Office 2010」に対し、顧客に最適・最新のIT環境を提供するため富士ソフトと連携し、最新のWindowsとOfficeへの移行支援および、統合ソリューションMicrosoft 365の導入・活用に関する相談窓口として「富士ソフト Windows 10/ Office 365 移行支援センター」を開設したと発表した。
新センターは、Windows 7とOffice 2010のサポート終了に向けた顧客の課題解決を支援する。相談窓口では、これまで富士ソフトが蓄積してきたさまざまな業種業態のシステム案件など広範囲にわたるノウハウを活かし、移行・導入に取り組むための必要事項や検討のポイントなどの情報を無償で提供する。
また、移行・導入に関するさまざまなサービスメニューを準備しており、顧客ごとの課題に対する解決策を提案し、顧客の疑問に対応することで移行の省力化とコスト削減を支援。
さらに、サービスメニューとしては相談窓口に加え、Microsoft 365を活用した働き心地の体感サービス、検証用Windows 10デバイスのレンタルサービス、セキュリティ診断サービス、ライセンス最適化サービス、Windows 10、Office 365、Microsoft 365の導入検証サービスを提供する。加えて、2018年3月末までの期間限定で先着10社に対して無償で導入検証サービスを提供する予定だ。
大企業、中小企業におけるIT最新化の現状
同社は、働き方改革とインダストリーイノベーションの2つテーマでデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組み、モダンワークプレイス、ビジネスアプリケーション、アプリケーション&インフラストラクチャ、データ&AIのソリューション群で、社員の活力、顧客とのつながり、業務の最適化、製品の変革を支援するという。
特に、今回はモダンワークプレイスによる社員の活力向上に焦点を当てており、日本マイクロソフト 代表取締役社長の平野拓也氏は次のように説明した。
「従来は、モダンワークプレイスを支えるITの最新化は新しいPCへの更新や、アプリケーションを最新版にアップデートすることのみにとどまっていたが、現在はクラウド化とAI化などが進展したことにより、新しいテクノロジーを活かして新しいビジネスモデルを構築することが可能だ。また、クラウドベースのため常に最新のテクノロジーを使用できる」
ITの最新化・最適化を進めることで、業務効率に加え、ミーティングの場がクリエイティビティの場に変わる可能性も秘めているとの認識を同氏は示す。
国内大企業の現状は、Windows 10移行に向けた活動を開始した割合は92%(楽天リサーチ 2017年12月)、同社のクラウドを利用している割合は80%(日経225銘柄の企業がOffice 365、Azure、Dynamics CRM Onlineのいずれかを使用)に達している。とは言え、PCの持ち出し禁止や限定された活用法など、働き方改革の推進面ではインパクトに欠ける部分もあるという。
そのような中で、東京海上日動火災ではOffice 365によるITの最新化を進めており、同22日にはモバイルPCにダウンロードした情報漏えいやモバイルPCに対する不正アクセスといったリスクをカバーする「テレワーク保険」を日本マイクロソフトと共同で開発し、2月1日から提供を開始すると発表している。
一方で、中小企業のIT最新化の現状はWindows 7サポート終了時期の認知の割合が49%、グループウェアを活用している企業の割合は12%と、いずれも芳しくない数値となっている。
しかし、中小企業におけるIT最新化が進んでいる事例もある。その理由としては、人手不足の解消、高齢化や出産・育児といったさまざまなライフステージの社員の支援、ITリソースが十分ではない中小企業でもクラウドを利用することで管理を容易化することが可能になったからだという。
同社では、中小企業が抱える課題に対し、Jマッチと共同で経営支援サービスとして公的支援制度の情報提供やOffice 365活用研修の提供を、それぞれ開始している。
移行・導入支援を加速
日本マイクロソフト 執行役員常務 パートナー事業部本部長の高橋美波氏は、新しいITの重要性について「新しいITを活用することで、部門間の連携が促進し、迅速な経営判断につなげることができ、作業時間の削減・時間の創出が可能となる。また、セキュリティを担保している」と強調した。
同氏は、IT最新化への3つのステップとして「知る」「聞く」「相談する」が必要となると説く。
知ることについては、法人向けサポート相談窓口の開設やサポート終了移行支援サイトの開設、告知の強化を進めている。聞くことについては、2018年に移行や導入に向けたイベント/セミナーを全国で1000回実施する。さらに、相談することについては移行支援に向けて約30社のパートナーが支援を表明している。
これらの施策により、同社ではWindows 7およびOffice 2010からの移行支援を一層加速していく考えだ。