再編を見据える上でも注目されるIIJのフルMVNO化

MVNOにとっては非常に厳しい年となった2017年だが、大手キャリアのMVNOに対する危機感は強い。大手キャリアによる市場寡占を懸念する総務省が現在、新しい有識者会議「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」を実施しており、その結果によっては大手キャリアに対して再び何らかの指導がなされ、MVNOが再び有利になることも考えられる。だが総務省の大ナタがない限り、この傾向は今年も続くと考えられ、限られたパイを奪い合うMVNO同士の競争が一層激化することは必至だ。

その先にあるのは、MVNOの淘汰と再編であることは言うまでもない。そもそも700以上存在するMVNOが全て生き残り、キャリアと対抗し得る勢力になるというのは困難なことだ。かねてより言われている通り、かつてのインターネットサービスプロバイダーと同様、増え過ぎた事業者の整理淘汰が急速に進み、いくつかの企業やグループに集約される動きが、今年は急加速するのではないだろうか。

では、どういったMVNOが勝ち残ると考えられるだろうか。1つは、やはり企業体力のあるMVNOであろう。MVNOの多くは資本力が弱く、プラスワン・マーケティングもベンチャー故の資金力のなさが、結果的には破たんへとつながっている。それだけに、企業体力がある、あるいはMVNO以外の事業基盤を既に確立している企業が、MVNO再編の軸となる可能性が高いといえそうだ。

そしてもう1つは、他社との差異化要素を持つMVNOだ。MVNOは大手キャリアのネットワークを借りており、しかもその大半はNTTドコモのネットワークである。同じ料金で同じネットワークを借りていることから、元々差異化要素があまりないのだ。それゆえ他社と明確な差異化を図ることができたMVNOは、唯一無二の存在として生き残ることができる可能性が高い。

そうした意味でも今年注目されるのが、IIJのフルMVNO化である。同社は2016年に、NTTドコモと加入者管理機能の連携を申し込んでおり、2017年度の下期、つまり今年の3月末までにはフルMVNOとしてサービスを提供するとしている。

フルMVNOとなるには高い技術力と多くの投資が必要だが、一方でSIMを独自に発行できるなど、MVNO側のサービスの自由度が大幅に高まるメリットがある。IIJはフルMVNOによるサービスを、主として法人向けに提供する予定だが、将来的にはコンシューマー市場に向けたサービスとして展開することも考えられる。それだけに、同社のフルMVNO化の成否は、今後MVNOの差異化を進める方向性の1つとして注目されるところだ。

  • IIJは今年3月末までにフルMVNOとしてのサービスを提供予定。SIMを発行できるなどサービスの自由度が高まることから、今後のMVNOのあり方を考える上でも注目される