IDC Japanは12月26日、国内ソフトウェア市場の2017年~2021年の予測を発表した。これによると、2017年の同市場は前年比成長率4.9%と予測しており、アプリケーション市場の成長が牽引したという。

  • 国内ソフトウェア市場 売上額予測:2016年~2021年

同社が定義するソフトウェア市場には、パッケージソフトウェア、SaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)の売上額が含まれる。2017年の国内ソフトウェア市場は前年比成長率が4.9%2兆8367億4500万円と予測。大分類市場別では、アプリケーション市場が前年比成長率5.2%、アプリケーション開発/デプロイメント市場が前年比成長率5.8%、システムインフラストラクチャソフトウェア市場が前年比成長率4.0%となった。

アプリケーション市場は、前回予測(2017年5月時点)の3.0%から2.2ポイント上方修正し、SaaSでの成長が著しいコラボレーティブアプリケーション市場(前年比成長率7.4%)、コンテンツアプリケーション市場(同6.9%)、CRMアプリケーション市場(同6.7%)が成長を牽引すると見込んでいる。働き方改革に対する取り組みが活性化し、特にeメールアプリケーションや会議アプリケーション、ファイル同期/共有アプリケーションなどのSaaS型コラボレーティブアプリケーションに対する需要が一層高まっていくと推測している。

国内ソフトウェア市場は、2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)5.2%、2019年に3兆円を超え、2021年には3兆4897億円に達するとIDCでは予測。また、大分類市場別の2016年~2021年のCAGRはアプリケーション市場が5.3%、アプリケーション開発/デプロイメント市場が6.7%、システムインフラストラクチャソフトウェア市場が4.2%と想定している。

2021年にはソフトウェア市場の約17.4%はパブリッククラウドサービス(SaaSとPaaS)の売上が占めると予測している。アプリケーション開発/デプロイメント市場では、ビッグデータ/アナリティクスやクラウドネイティブアプリケーションプラットフォームの需要拡大によりPaaS市場の高い成長が見込まれ、2021年にはおよそ25.4%をパブリッククラウドサービス売上が占めると推測。

アプリケーション市場においても、働き方改革やビジネスのデジタル化を推進していくために、既存アプリケーションからSaaSへのシフトが今後より顕著になると見込んでいる。さらに、企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の成熟度が高まっていくにつれ、IoT(Internet of Things)やコグニティブ/AI(人工知能)システム向けのクラウドサービスの活用が拡大するという。

同社のソフトウェア&セキュリティのリサーチマネージャーである入谷光浩氏は「これまでパッケージソフトウェアのみでは実現することが難しかったソリューションがクラウドサービスを活用することによって実現可能となり、ソフトウェアソリューションの適用領域が拡大している。ITサプライヤーは、既存パッケージソフトウェアからクラウドサービスへの移行に終始するのではなく、パッケージソフトウェアとクラウドサービスを組み合わせた新たなソリューションを提供し、顧客に対する価値をさらに高めていくことが重要である」と、述べている。