Microsoftは米フロリダ・オーランドで2017年9月25日~29日(現地時間)に開催する「Ignite 2017」でOneDrive/OneDrive for Businessの更新内容を発表した。公式ブログでは7つの新機能を紹介している。

「OneDriveファイルオンデマンド」はWindows 10 バージョン1709(Fall Creators Update)でサポートされる新機能だが、Microsoft Leads Product Marketing for OneDrive for BusinessのStephen Rose氏によれば、アプリケーションをインストールせずに、270種類以上のファイルサムネイルをサポートするという。

Adobe Illustratorで使用するAIファイルのサムネイルを表示している

ADAL(Microsoft Azure Active Directory認証ライブラリ)を用いて、OneDrive for Businessのサイレント同期と自動構成がサポートされた。具体的には新デバイスの準備中にエンドユーザーの操作を必要とせず、同情報を用いてOneDrive for Businessの構成を自動的にセットアップするというもの。Ignite 2017ではMicrosoft 365搭載デバイスの各種設定を自動化するWindows AutoPilotのデモンストレーションでADALを組み合わせ、IT管理者がデバイスに触れることなくセットアップを行っていた。

Microsoftアカウントを使用せずにファイル共有を行う仕組みも新たに用意した。Microsoft Azureを利用して一時的なパスコードを生成し、コードを知る別のユーザーはファイルへのアクセスが可能になる。

パスコードを用いてOneDrive for Businessによるファイル共有が可能になる

Web UIの刷新も明らかにした。「クリーンで直感的なものに置き換え、ユーザー作業を軽減」(Rose氏)が目的である。共有相手となるユーザーやコンテンツを示し、コンテンツにアクセスしたユーザーの確認も容易になるようだ。また、Web上でファイルをクリックするか、Webブラウザーからファイルを選択することで、対応するファイル形式は即時編集モードに切り替わるといったWeb体験の改善も行われる予定だ。ちなみに、UIの刷新はスマートフォンなどで動作するモバイルクライアントも対象となる。

OneDrive for BusinessのWeb UIも刷新する。ZIPファイルのサポートも予定している

iOS上の「OneDrive」も誰が参照したのかなど、多くの情報が確認可能になる

OneDrive管理センターも更新し、アクティブなアカウントやファイルの参照や共有などを示すアクティビティなどがメッセージセンターから確認できるという。

新たなOneDrive管理センター。共有権限の範囲を容易に設定するスライダーなども加わる

ファイルの復元機能も強化し、大量の削除やランサムウェア、ファイル破損などデータ損失シナリオからの保護を可能にする。Microsoftによる具体的な説明はないものの、スクリーンショットを確認する限り、復元データの範囲や削除時期などを明示することで、ユーザーの復元操作が容易になりそうだ。

さまざまなファイル損失シナリオを回避するため、「ごみ箱」にいくつかの機能が加わる

この他にもMicrosoft Flowの全面的なサポートを2017年末までに開始し、自身の秘密鍵をOneDrive for Businessで保持可能にする暗号化の強化、他のオンラインストレージサービスからOneDriveへの移行を検討しているユーザー向けに移行ツールキットを準備している。

阿久津良和(Cactus)