6月28日から30日にかけて開催される「第1回AI・人工知能EXPO」。AI関連のサービスを手がける企業110社が出展し、各社デモや展示を実施している。自社サービスや社内システムにAIを導入しようと考えている企業が多いのか、会場は多くの人でにぎわっていた。本稿では注目を集めていたブースをいくつかピックアップし、展示の様子を紹介する。
食材を認識してレシピを提案するショッピングカート
AIソリューション「AMY(エイミー)」を展開するAutomagiのブースでは、ロボットコンシェルジュカートの展示を行っていた。スーパーなどのショッピングカートにカメラ付きのロボットが搭載されており、カートに入れる際に食材などを認識。バナナを入れればバナナを使ったレシピを紹介してくれる。
実際に、ワインのラベルをカメラに見せると、ワインと認識したうえで「ワインの味は辛口なのでりんごやバナナを使ってサングリアを作るのがおすすめ」と飲み方の提案までしてくれた。
マルチリンガルなバーチャルロボット
Web制作会社のティファナ・ドットコムのブースでは、AIを使ったWebサイト構築サービスなどを紹介。中でも目を引いていたのが、同社の対話型人工知能「KIZUNA(絆)」を搭載した接客型バーチャルロボットのさくらさんだ。デモでは大きなディスプレイにさくらさんが堂々と映し出されており、来場者の質問に答えていた。「近くにATMはある?」という質問に対して、音声の自然言語をしっかりと認識したうえで「ATMコーナーにはみずほ銀行、東京スター銀行、セブン銀行、ゆうちょ銀行のATMを設置しております」と、会場内に設置されているATMを教えてくれた。
同AIサービスは日本語、英語、中国語、韓国語という4言語でのコミュニケーションが可能なので、訪日外国人の多い観光案内や多言語で展開するECサイトなど様々なシーンでの活躍に期待される。
また、ビジュアル面ではさくらさんのほかにも、あすかちゃんやゆうちゃん、茜さんなど計6人のキャラクターの中から選ぶことができるという。
NTTドコモのオープンAIエージェント基盤
NTTドコモのブースでは、画像認識技術による商品棚陳列シミュレーションやオープンAIエージェント基盤「Sebastien」のデモが行われていた。
同プラットフォームは、個々に合わせた情報を適切なタイミングで提供する先読みエンジンと自然言語処理技術を用いた多目的対話エンジン、様々なデバイスと連携可能なIoTアクセス制御エンジンから構成される。通常ユーザーと対応する「メインエージェント」とサービス提供事業者が作成する「エキスパートエージェント」があり、メインエージェントで対応できないことがあればエキスパートエージェントが対応する仕組みだ。
表示デバイスを選ばないAIロボット
モノゴコロのブースでは、バーチャルロボットプロジェクトのデモや高精度・リアルタイムの映像解析技術の展示が行われていた。バーチャルロボットは、ネットワークに接続されたスマートフォンやディスプレイ、テレビなど、表示装置さえあれば場所を問わずどこにでもキャラクターを映し出すことができる。デモでは来場者と音声会話によるコミュニケーションが行われていた。
また、2017年7月14日にオープンするヴィレッジ・ヴァンガード渋谷宇田川店において、同社のAI店員「渋谷めぐる」さんが採用された。来店客との会話が可能で、商品のレコメンドや雑談などを行ってくれるという。将来的には顔認識やPOSデータとの連携なども考えているとのことだ。
AI導入のコンサルティングサービス
日本サード・パーティのブースではAIの導入コンサルティングを提供するサービス「THIRD AI」の紹介を行っていた。自社でAIの技術を持たず、顧客ニーズに合わせて適したAIエンジンや導入、保守運用までトータルでサポートする。
今回紹介されていたのは、LINEを使ったカスタマーサポートやチャット機能を搭載した自立型ヒューマノイドロボット「NAO」。同じLINEを使ったカスタマーサポートを導入する場合でも、どのAIエンジンを搭載すればいいのか、どのような質問を想定してどのような回答を準備すればいいのかといったコンサルティングを行うとのことだ。
企業の業務効率化や革新的なサービスを生み出す可能性を秘めたAI技術。最近では多くのサービスにも取り入れられるようになってきた。これからどのようなイノベーションが生み出されていくのか、その動向から目が離せない。