東京・お台場の日本科学未来館が6月22日から常設展に新たに4つの展示をオープンした。同日、報道関係者向けの内覧会が行われた。
常設展は同館の3階と5階に設けられている。"未来をつくる"、"世界をさぐる"、"地球とつながる"の3つのゾーンに分かれ、それぞれ第一線で活躍する科学者や技術者の監修のもと展示物が制作されている。
インターネットを「物理で表現」する展示、リニューアル
今回新たに設置された展示のテーマは4つ。"IoT"をテーマにした「インターネット物理モデル」は、慶應義塾大学環境情報学部学部長・教授の村井純氏らが監修した展示で、2001年の開館当初からある人気展示がリニューアルされた。人や情報のみならず、モノや環境、サービスなどともつながるようになったインターネットの昨今の状況を反映した、インターネットの仕組みが構造物で表現されている。
来場者は0と1のデジタル信号を見立てた白と黒のボールがさまざまな中継装置を通して送り届けられる様子を実際に目で見ることを通してインターネットの概念やIPネットワークの仕組みを理解できるようになっている。
石黒教授らが監修の機械人間「オルタ(Alter)」
"機械人間"がテーマの展示では、大阪大学大学院基礎工学研究科教授の石黒浩氏と東京大学大学院総合文化研究科教授の池上高志氏らが監修にあたった「機械人間『オルタ(Alter)』」を紹介。以前から「アンドロイド 人間って、なんだ?」をテーマに展示されていた「オトナロイド」の横に新たに追加された。機械がむき出しになった姿だが、複雑な動きを表現するロボットだ。
「機械人間『オルタ(Alter)』」。機械むき出しのロボットの複雑な動きを観察することで"人間らしさ"を問う。従来から展示されている人間そっくりのロボット「オトナロイド」との対比を通して新たな発見へ導くという挑戦的な試みだ |
生命らしさを「人間の想像力によって見出される」と考える石黒教授と、「基本原理から立ち現れるもの」と考える池上教授の研究室の協業で生まれたもので、人間そっくりな見た目のロボットと、機械むき出しながらセンサーで周囲の人の動きを読み取り、生物の神経回路を模したプログラムで複雑な動きをするロボットとの対比によって、人間らしさを問いかけることを目的としたユニークな展示となっている。