電通の海外本社である電通イージス・ネットワーク(DAN)は6月16日、世界の広告費成長率予測を発表した。これによると、2018年にデジタル広告費がスマートフォンの流通台数増加により、テレビ広告費を上回るという。なお、同予測はこれまで同社傘下のメディア・コミュニケーション・エージェンシーである「Carat」(カラ)が行ってきたが、今年からDANとして予測・発表していく。

同予測は、全世界59地域から収集したデータを基に行っており、従来は毎年3月に前年実績の確定と当年の予測、9月にその改定と翌年の予測を行っていたが、今年からはそれぞれの時期を6月と12月にシフト。

今回は、2016年実績の確定と2017年予測の改定、ならびに2018年の予測を行い、世界各地の広告市場の方向性を見る上で重要な指標とみなされている同予測から、全世界59地域トータルおよび主要地域/国に関する推計値を公表している。

2017年の世界の広告費は昨今の経済情勢に鑑み、前回(2016年9月)予測の4.0%増から3.8%増に微減。2018年は、韓国・平昌での冬季オリンピック・パラリンピック大会やロシアで行われるFIFAワールドカップなど大型スポーツイベントの好影響もあり、2017年の伸びを上回る4.3%増と予測している。

また、世界最大の広告市場である米国の成長率は大統領選のあった2016年の5.0%増に引き続き、2017年の成長率は3.6%増、2018年には4.0%増になると予測しているほか、世界の広告費に占める米国広告費の構成比は2017年に37.7%になると推測。

さらに、世界第2位の広告市場である中国は2016年の広告費は7.4%増と好調であり、2017年、2018年もそれぞれ6.0%増、5.4%増と堅調に成長すると見込んでおり、インドは主要国で唯一、2017年、2018年ともに2桁成長を予測し、日本は2017年、2018年ともに1.7%増と安定した成長を予測している。

世界の広告費成長率予測の表

一方、媒体別では2018年に世界のデジタル広告費が初めてテレビ広告費を超えると見通しで、デジタル広告費のシェアは37.6%、2158億ドルに達し、テレビ広告費のシェア35.9%を上回ることになるという。

デジタル広告費の内訳では、2017年にはモバイル広告費がデジタル広告費全体の56%に達し、パソコン広告費を抜くと見込んでおり、2025年にはスマートフォンの全世界での流通台数が40億台に達するという予測もあり、この傾向は続くと見られるとしている。

デジタル広告費を牽引するのは、動画、SNS、運用型の広告であり、2017年の成長率はそれぞれ、32.4%増、28.9%増、25.4%増を予測している。