iOSには2つの注目点

アップルのWWDCの基調講演は例年、各デバイス向けの最新版のOSを披露する形で展開される。アップルには現在、iPhone·iPad向けのiOS 10、Apple Watch向けのwatchOS 3、Apple TV向けのtvOS 10、そしてMac向けのmacOS 10.12の4つのプラットホームが存在している。

おそらく2017年のWWDCでも、これら4つのプラットホームの最新版とその機能について紹介しながら、もしそのカテゴリに新製品があるのなら、それも合わせて披露する、といった流れになっていくものと予測できる。

iOSは、アップルにとって最も重要なハードウェアであるiPhone向けのOSだ。iPhoneの競争力を高める体験を用意し、あるいはそうした体験を作ることができる環境を開発者に対して提供することが重要となっている。

特に2017年は、音声アシスタントと拡張現実(AR)をモバイルに取り込んでいくトレンドが、フェイスブックやグーグルによって作り出されており、両社はVRについても、その取り組みを深めている。

アップルも次期iOSで、音声アシスタントSiriの更なる発展とAR·VR対応について、きちんと答えを出し、他社の環境よりも優れたアプリを作ることができる環境を用意できるかどうかに注目されている。

同時に、同じiOSで動作するiPadは、iOS次第ではその販売台数を上向けることができるかもしれない。iPadは3年間以上にわたって、販売台数が前年同期比割れを続けている長い下落トレンドの中にある。

2016年3月に登場したiPad Proは、「PCの買替え需要を獲る」とその戦略を明らかにしているが、前述の通り、マイクロソフト主導でPC市場自体がデタッチャブルやモバイルワークステーションへとシフトしていることから、思うような効果を上げられていない。

アップルがiPad向けのiOSの機能を、既存のPCやMacとは違う魅力で発展させることができれば、登場が期待される新型iPad Proとともに、iPadのポジションを改めて確立することができるかもしれない。