このスキルを持ったスタッフは、ほかのスタッフとは異なる作業ユニフォームが与えられ、たとえば、検査においては、組立ライン上に設置されたブラックボックスの中に入り、1台1台、目視でチェックを行うといった作業も行う。

このブラックボックスのなかには人が入って、目視による検査を行う

同様に、外観検査においても、機械による自動検査とともに、赤帯に認定された匠による目視による厳しいチェックが行われる。

外観検査などを目視で行う

ただ、組立、検査、梱包など、各工程ごとに求められるスキルが異なるため、それぞれに赤帯認定が行われる。つまり、各工程において、最も技術力を持ったスタッフが、有機ELテレビの組み立てを行っていることになるわけだ。

なお、組立工程では、パネルの搬送などには吸着機が使用されたり、部品の組み込みには双腕ロボットが導入されたりしており、匠の作業をサポートすることになる。

また、基板実装ラインは、室温25度、湿度40%の環境が維持されており、高速マウンターなどの実装ラインの装置は約9割がパナソニック製になっているという。

有機ELテレビの基板実装ラインの様子

「有機ELテレビの真の実力を発揮するには、高度な技術が必要不可欠。新たな技術と蓄積した技術の両方を生かすことで、自発光デバイスである有機ELテレビの性能を、最も引き出すことができる生産技術を確立した。これによって、ジャパンプレミアムを実現する4K有機ELテレビの生産を可能にしている」と、阪東弘三所長は自信をみせる。

完成した有機ELテレビの基板

さらに、見逃せないのが、同じ敷地内でテクニクス製品を製造しているという点だ。「有機ELテレビに搭載したサウンドシステムは、テクニクスの開発チームの指導をもとに、スピーカーを全数検査している」という。

フラッグシップのテレビとして、最高画質と最高音質を実現するためのモノづくりが行われていることがわかる。