昨年12月にJリーグの中継を終了すると発表したスカパーJSAT。その持株会社のスカパーJSATホールディングスが19日、2016年度通期決算を発表した。Jリーグの放映権喪失の影響はどの程度だったのか。
スカパーが公表したところによると。有料多チャンネル事業における増減数は前年度に比べ16.2万件の純減となり、加入者累計は332万件になったとしている。
このうち、Jリーグの放映権喪失に伴う契約者の減少について、高田真治社長は「昨年12月に放送終了のアナウンスをした段階でかなりの人が解約した。だいたい10万人くらいですかね。そのうちの7割ほどがJリーグの解約とともに私たちのプラットフォーム自体を解約することになりました」と明かす。
放映権喪失に伴う加入者数の減少は大きな痛手だが、コンテンツの調達費を考慮すると、実はスカパーにとっては、それほど大きな影響ともいえない。
各社の報道によると、DAZN運営元のパフォームは10年間で約2100億円の資金を投じたとされる。単純にならしても1年間に200億円かかることになる。
高田社長によるとピーク時には約20万契約あったJリーグコンテンツだが、その契約数ではどう考えても割にあいそうにない。昨年11月の決算説明会においても、同社は、Jリーグでは利益を出すまでには至らなかったとし、利益面でのインパクトはないと答えていた。
今回の決算でも、加入者数の面では、Jリーグ放映権の喪失を理由とすると、そのほかの影響収益や利益面では、Jリーグの文字は出てこない。収支の面では、大きな影響は出なかったように見える。
むしろ、同社にとって大きな課題は、DAZNを初めとした動画配信サービスが多様化し、競合相手が増えていることであろう。サービスの多様化により、新規顧客獲得が難しくなっていることは同社も認めるところだ。
そうした中においても、今年度の純増1万件をなんとしてでも達成する(スカパー! スカパー! プレミアムサービス、スカパー プレミアムサービス光の合計でOTTサービスを除く)としている。しかし、純増に向けての施策は心許ない。オリジナルアニメやドラマ、ライブ中継などによるコンテンツの差別化、UEFAチャンピオンズリーグやW杯欧州予選、各ヨーロッパリーグに加え、天皇杯など国内サッカーを視聴できるセットをリリースすることなどが主な施策だ。
一極集中型の人気コンテンツなどなく、地道な積み重ねが必要と説明するが、これから先も競合が増えそうな市場において、どうなっていくだろうか。