Microsoftは16日(現地時間)、「Project Rome」に関する詳細説明を公式ブログで行った。Project Romeは、異なるデバイス間で生まれるUX(ユーザー経験)の差異を埋めるため、OSレベルで実装する仕組みである。具体的には、Windows/Android/iOSそしてMicrosoft Graphに、クライアントとクラウドアプリケーションの開発時にUXの改善を実現するプログラミングモデルAPIの提供。Windowsおよびクロスプラットフォームデバイスに、Microsoftクラウドのインフラストラクチャサービス提供。そして、インフラストラクチャサービスに統合するProject Romeインフラストラクチャサービス向けデバイスランタイムで構成される。

※すべての画像は公式ブログより抜粋

Project Romeに対応するデバイスプラットフォームはMicrosoft Graph APIを介して、Azure Active DirectoryやOffice 365など複数のMicrosoftクラウドサービスからのデータにアクセスして統一体と関連性を維持し、インテリジェンスやインサイトサービスがWindows 10 Fall Creators Updateから利用可能になる。ただし、これらの機能はCommercial Users向けとの注意書きがあることから、ProもしくはEnterpriseエディション向けと推察される。

既にMicrosoftはクラウド経由でユーザーデバイスに接続し、アプリケーションの遠隔起動やメッセージ送信を行うRemoteSystems APIと、複数ユーザーの共同作業を実現するRemoteSessions APIを公開済み。前者は冒頭述べた各プラットフォームで動作するが、後者は現時点でWindows版のみ。同社はAndroidおよびiOSの実装を間もなく公開すると説明している。

また、公式ブログではWindows 10 Fall Creators Updateで実装する「TimeLine」などを実現するUserActivity APIについても解説した。同APIはディープリンクとビジュアル、コンテンツメタデータの3部品で構成され、アプリケーションからUserActivityセッションを作成すると、ユーザーがアプリケーションを利用する際にエンゲージメントレコードを生成し、TimeLineやCortanaの通知機能などに用いられるという。

開発者視点からWindows 10 Fall Creators Updateを鑑みると、先に述べたMicrosoft Graph REST APIやUser Activity APIが実装される。また、Windows以外のデバイスプラットフォームは、Project Rome iOS SDKやProject Rome Android SDKを用いて早期開発が可能になる。各SDKはGitHubからダウンロード可能。

阿久津良和(Cactus)