東北大学は5月11日、 5大大量絶滅のひとつであるオルドビス紀末大量絶滅を記録した2カ所の地層から水銀の濃集を発見したと発表した。
同成果は、米国アマースト大学 デイビッド ジョーンズ博士、東北大学大学院理学研究科 海保邦夫教授らの研究グループによるもので、5月1日付の米国科学誌「Geology」に掲載された。
5度の生物の大量絶滅のうち、後半の3つの大量絶滅の原因は大方明らかになっているが、最初の2つの大量絶滅は未解明のままとなっている。4億4500万年前~4億4300万年前に起こった最初の大量絶滅では、カンブリア爆発とオルドビス紀大放散を経て形成された珊瑚礁と頭足類、海サソリ、筆石類、三葉虫、腹足類など多様な動物群が大きな影響を受け、科の1/5、属の半数が絶滅した。
今回、同研究グループはその大量絶滅を記録する中国とアメリカの地層から堆積岩試料を採取し、元素分析を実施。水銀の濃集を発見した。水銀の濃集は、異なる時代の3回の大火山噴火時にも認められており、今回発見された濃集も同様に、大火山噴火によりマントル中に起源を持つ水銀が空高く放出され世界中に堆積したものと考えられるという。
大火山噴火では、成層圏に放出された大量のSO2ガスが硫酸となり地球を覆い、太陽光を反射することで、地球規模の寒冷化が起きる。また、この時期の前後の地球は氷床がない温暖期で、この時期のみ氷床があったことから、それがこの大量絶滅に関係していると考えられていた。したがって今回の発見は、大規模火山噴火が寒冷化を招き、氷床発達と大量絶滅を引き起こしたことを示唆しているものであると言える。
今回の成果から、5度の生物の大量絶滅のうち3度は大規模火山噴火によるもの、1度は小惑星衝突によるものであると明らかになったことで、同研究グループは、残りひとつの大量絶滅の原因の解明が待たれるとしている。