金沢大学は、同大総合メディア基盤センターの笠原禎也教授、井町智彦准教授、理工研究域電子情報学系の八木谷聡教授、尾﨑光紀准教授らの研究チームが、東北大学、京都大学、富山県立大学と共同で、プラズマ波動・電場観測器(PWE:Plasma wave experiment)を開発し、「コーラス」と呼ばれる電磁波をとらえることに成功したことを発表した。
このたび開発されたプラズマ波動・電場観測器は、昨年12月20日に打ち上げられたJAXAのジオスペース探査衛星「あらせ」(ERG)に搭載されている。約3か月にわたる観測準備が無事終了し、3月24日から定常運用に移行すると同時に、地上に複数配置された観測拠点との共同観測を開始している。
これらの観測拠点には、名古屋大学と共同で尾﨑准教授が開発した電磁波観測網が整備されており、「あらせ」と地上観測拠点における「コーラス」の同時観測によって、地球周辺の宇宙環境の謎が飛躍的に解明されることが期待されるという。
「コーラス」とは、宇宙空間で自然に発生している電磁波のこと。地球の近くの宇宙空間の激しい気候変動(宇宙嵐)に深く関係があるとされ、真空のため音を直接聞くことはできないが、その電波を受信してスピーカーにつなぐと小鳥の声のように聞こえることから、「宇宙のさえずり」とも呼ばれている。
また、これらのデータは、国内外の研究者に広く利活用されるように、今後は他の観測データと合わせて、名古屋大学ERGサイエンスセンターのWebサイトで順次公開される予定とのことだ。