日本ヒューレット・パッカード(HPE)は3月17日、「3PAR」ストレージの大幅な機能拡張を発表した。データ容量削減機能「3PAR Adaptive Data Reduction(ADR)」を搭載しているほか、遠距離のディザスタリカバリにも対応した「3PAR Peer Persistence」、「HPE Recovery Manager Central(RMC)」を使ったオフプレミスのコピー管理機能によるデータ保護の対象を3PARアレイ以外にも拡大、「3PAR StoreServ Management Console(SSMC)」の自動化機能拡張などを強化している。

ADRでは、インラインの重複排除や圧縮を行うほか、独自の「3PAR Data Packing」アルゴリズムによってデータを16KBに圧縮しパッケージ化する。Data Packingでは、データ更新も上書き保存のため、データに無駄がないという。

「3PAR Adaptive Data Reduction(ADR)」

「3PAR Data Packing」

アプリケーションとホストのフェールオーバーを実現する「HPE 3PAR Peer Persistence」では、遠隔地にある3カ所のデータセンターにおいてディザスタリカバリが行えるようになった。

また、「HPE Recovery Manager Central (RMC) 」では、シームレスなApplication-Managed Snapshot、および「3PAR」からセカンダリの「HPE StoreOnce Systems」へのデータ移動をサポート。

さらに、「3PAR OS」では、Express WriteでiSCSIを採用し、レイテンシーを最大40%削減できるほか、ホストとのコネクティビティ強化とマルチテナントIPネットワーキングなど、iSCSIのアップデートによりクラウドコンピューティング展開に対するサポートを向上。プロビジョニングを自動化し、異なるプロトコル間のファイル共有を可能にした「3PAR File Persona」などの機能強化を行っている。「HPE 3PAR」オペレーティングシステム(3PAR OS 3.3.1)は2017年第1四半期に、サポート契約を締結しているユーザーに無償で提供される。

Express WriteにiSCSIを採用

また、1つのライセンスの中に、RMCなどすべてが込みになっている包括的ライセンスを新たに提供。複数3PARであったも1つのライセンスを購入すれば済むという。包括的ライセンスは、同日から提供される「HPE 3PAR StoreServ 8000」および「HPE 3PAR StoreServ 20000」の新製品とともに提供を開始した。

そのほか、「HPE StoreOnce VSA for Azure」により、「HPE StoreOnce System」上のデータは、Microsoft Azure内の「HPE StoreOnce VSA」ソフトウェアを使用し、「HPE Recovery Manager Central」、「「HPE Data Protector」などのバックアップアプリを使ってクラウドに複製できるようになる。この機能は2017年第1四半期に提供され、価格は1,400ドルから。

エッジコンピューティングとソフトウェア定義ストレージ(SDS)にも拡張するため、「RMC」のコピー管理機能である「Peer Copy」も発表。これは、「StoreVirtual VSA」と「3PAR」アレイの間でスナップショットデータの双方向の移動を可能にする。

「Peer Copy」

「HPE Peer Copy」と「HPE Recovery Manager Central」は2017年第2四半期に、サポート契約を締結しているユーザーに無償される。

「HPE 3PAR StoreServ Management Console(SSMC)」には、「3PAR」またはサポートされるサードパーティ製ストレージシステムへのデータ移動を自動化し、そのためのスケジュールを設定する機能が提供。また「SSMC」には、Fibre ChannelネットワークのSANゾーン設定を自動化し、ワンクリックで行うことのできる「HPE Smart SAN」も組み込まれる。

「HPE StoreFront Remote」クラウド分析ポータルもアップデートされ、プロアクティブにリスクを軽減し、ソフトウェアのアップデートを管理し、またキャパシティプランニングを補佐するベストプラクティスを「3PAR」ユーザーに提供できるようになる。

日本ヒューレット・パッカード データセンター・ハイブリッドクラウド製品統括本部 統括本部長 本田昌和氏

日本ヒューレット・パッカード データセンター・ハイブリッドクラウド製品統括本部 統括本部長 本田昌和氏は、日本における3PARの販売について「ストレージに関しては、われわれはまだ上を目指せる位置にある。エントリー市場ではそれなりポジションを得ているが、キーになるのはミッドレンジだ。今回の機能拡張は待ち望んだものなので、これを機に日本における存在感を上げていきたい」と語った。

「HPE 3PAR StoreServ 8000」向けに新キャンペーンを開始

日本ヒューレット・パッカードでは、今回の機能強化をきっかけとして、同日より、「HPE 3PAR StoreServ 8000」を対象とした、「ソフトウェアがコミコミへ!新生3PAR体感キャンペーン」を実施する。

このキャンペーンでは、ライセンス体系を刷新した最新モデルの「3PAR StoreServ 8200」を対象に、フラッシュ構成で288万円から購入でき、オールフラッシュで論理容量(RAID5(7+1EL)時) 10TiB、および 20TiBのパッケージモデル等も用意しているという。