農研機構とササキコーポレーションは共同で、水田のあぜ道などで使えるリモコン式の電動式草刈機を開発したことを発表した。一定条件下では自動走行も可能で、作業環境を大きく改善される。

左上下:開発機を用いた遠隔操作による作業の様子、右上下:従来の草刈り作業の様子

一般的に、水田のあぜ道などにおける除草作業は、エンジン式の刈払い機(肩掛け式・背負い式)やエンジン式の草刈機(自走式)を人が直接操作して行うが、雑草の生育が旺盛な夏季の高温期などに数日間連続して繰り返し行わなければならないことから、作業者の労働負担が大きく、軽労化が求められていた。加えて、排ガスや作業時に発生する土埃等にも曝されることから、作業環境の改善が必要となっていた。

このたび農研機構とササキコーポレーションが共同開発した電動式草刈機は、排ガスを出さずに、水田においてあぜ道や路肩などの整備された斜面での草刈り作業を、無線リモコンによる遠隔操作によって行える。また、途中に障害物が無く、比較的平坦で直線的で十分な強度を持つあぜ道では、あぜ道に沿った自動走行も可能だという。

また、現在使用されている刈払い機・草刈機と比較して、作業の大幅な軽労化および飛び石や作業機の反発等の危険回避による安全性の向上が期待でき、今後は稼働時間の拡大や耐久性など量産化に向けた検討を行い、平成30年度に市販化する予定とのことだ。

なお、開発機の主なスペックは全長1400mm、全高1000mm、刈幅600mm(300×2連)、重量94kg。走行部の構造は2クローラ式でトレッド幅は520mm、駆動方法(モータ出力)はホイールインブラシモータ、作業速度は最高0.8m/s。刈取部の構造は2連式カッタユニット(フレキシブルアーム)、駆動方法はブラシレスモータ(DC36V、300W×2)、回転数は3000rpm(標準)、操作部は無線リモコンおよび有線リモコン。電源は鉛蓄電池(36V、20Ah)、稼働時間は約30~40分程度となっている。