海洋研究開発機構(JAMSTEC)は3月1日、三陸沖での東北海洋生態系調査研究船「新青丸」による海底観察などの結果について発表した。

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震およびその余震による海底環境や海底地形、生物分布への影響を明らかにするため、JAMSTECは2月11日~2月27日に、新青丸および無人探査機「ハイパードルフィン」を用いた潜航調査、マルチビーム音響測深機による精密地形調査、サブボトムプロファイラーによる地質構造調査を実施した。

この結果、東北地方太平洋沖地震の余震とされている昨年11月22日に福島県沖で発生した地震の発生域近傍において、北緯37°13'付近から幅1~2m程度の割れ目が検出され、その一部ではヨコエビが大量に集まっている様子が観察された。

水深138mの幅1~2m程度の割れ目の底部に大きさ7㎜程度のヨコエビが大量に集まっている (出所:JAMSTEC Webサイト)

また、北緯37°18'付近での潜航では、明瞭な高さ2m程度の地形段差を視認。そこでは白い変色域が観察された。また、同地形段差は、北東~南西走向に延びていることも確認されている 。

割れ目の底でみられた白い変色域。海底下からのメタン・硫化物の湧き出しに伴いバクテリアがマット状になった可能性が高いという (出所:JAMSTEC)

JAMSTECは、これらの地形段差や割れ目が11月22日に福島県沖で発生した地震によって生じたものとは現段階では断言できないとしているが、段差や割れ目面の新鮮さから比較的最近生じたものであることが示唆されているという。また今回得られた地形段差や割れ目は、断層の規模や方位を評価するうえで重要なデータとなる。JAMSTECは、今後データや画像の解析を進めていくとしている。