米運送大手UPSが「Workhorse HorseFly UAV Deliveryシステム」というドローンを用いた宅配便配達のテストを成功させた。配達トラックの荷台屋根にドローンの発着台を設置、トラックをハブにドローンが荷物を配達する。

Workhorse HorseFly UAV Deliveryシステムは、商業向けの電気自動車やドローンを手がけるWorkhorse Groupが開発した。通常ドローンと発着台は車内に格納されており、荷物を載せたり、届け先の入力などは車内で行う。荷台の屋根部分のカバーがスライドすると発着台が現れる。ドローンの飛行時間は最大30分、最大10ポンドまでの荷物を運べる。

トラック内でドローン下部のカゴに荷物を入れ、タブレットを使って届け先を指定、トラックの荷台屋根部分からドローンが飛び立つ

米AmazonがテストしているPrime Airは物流センターから直接顧客に荷物を届けるが、UPSのドローン配達は配達トラックの一部である。UPSはドライバーを「UPSの顔」としており、Workhorse HorseFly UAV Deliveryシステムによるドローン配達では、配達ドライバーとドローンがそれぞれのメリットを活かして効率的に荷物を届ける仕組みを目指している。たとえば、UPSドライバーが配達している間に1つだけ遠くに離れた届け先をドローンに任せれば、トラックで長い距離を移動することなく短時間で配達を完了できる。

UPSは市街地での配達トラックのルートから交差点での左折(日本の右折)を除外するなど、配達の効率化を図るユニークな施策を次々に実行している。同社によると、各ドライバーの移動距離が1日1マイル減るだけで、1年間でUPSにとって最大5000万ドルの節約になる。地方や郊外では配達あたりのトラックの移動距離が長く、一方でドローンが荷物を下ろせる場所を確保しやすいので、Workhorse HorseFly UAV Deliveryシステムは特に地方・郊外で有効だ。また、単純な配達をドローンに任せることで、UPSドライバーが顧客サポートにより多くの時間を費やせるというメリットもある。

小道の先にある配達先をドローンに任せることでトラックの移動距離を節約

米フロリダ州で行ったテスト配達では、Workhorseがドローンにプリセットしたルートが用いられたが、将来的にはUPSのナビゲーションシステム「On-Road Integrated Optimization and Navigation (ORION)」で運用する計画だ。