見直しを図る海外の原子力事業

一方で、今回の会見では、原子力事業に関する基本的な考え方についても説明した。

綱川社長は、「エネルギー事業は、社会インフラ事業とメモリ/ストレージ事業と並んで、当社の注力事業としている。この姿勢は変わらない。社会的な使命を果たせるように、引き続き注力事業とし、体制を維持強化していく姿勢には変わりがない」とするものの、「だが、原子力事業についてはエネルギー事業の最注力事業の位置づけを変える。国内では、再稼働、メンテナンス、廃炉を中心に事業を継続し、福島第一原発の処理もやりきり、社会的責任を果たす。一方で、海外事業は見直しを行う。原子力事業部門は、エネルギーシステムソリューション社から社長直属組織として独立させ、情報共有、意思決定の迅速化を図り、米国建設プロジェクトのコスト管理の徹底、ウェスチングハウスへのガバナンス強化を図る」とした。

東芝では、全世界で2029年までに64基の原子力発電を受注するという計画を掲げていたが、「受注の内容が変わってくることになる。建設まで含めて受注するのか、タービンなどの機器設備だけでやるのかといったことが変わってくることになる。いま建設に関わっているのは米国での4基だけ。これを見直すことで、基数は同じでも売上金額は下がるといった可能性がある。基数を含めて、中期経営計画のなかで明らかにしていく」とした。中期経営計画は、2016年度第3四半期決算が発表される2月14日に公表する考えだ。

会見場には、多数の報道関係者・アナリストがつめかけた

海外ではウェスチングハウスが約100基の設置ベースがあり、燃料供給やサービスを提供するが、「新規受注は、今後考え直す」と述べたほか、「ウェスチングハウスを継続保有していくのかどうかも含めて、2月14日に説明する」として、原子力事業の事実上の縮小を示唆した。