ロボキュアは1月27日、人型ロボットPepper上で動作する失語症者向けリハビリアプリ「ActVoice for Pepper」とリハビリを管理できるPC用アプリ「リハログ」の提供を開始したこと、ならびに初めての導入先が千葉県の国保直営総合病院君津中央病院となり、同病院にて運用を開始したことを明らかにした。

失語症は脳卒中などにより、大脳の言語中枢が損傷することで発症するが、回復のためには長期間のリハビリが必要となる。しかし、現在の医療保険制度では病院で長期的に言語訓練を受けることは難しく、介護保険では、慢性的な言語聴覚士不足から、 失語症者が言語聴覚士と一対一でゆっくり向かい合って行う言語訓練が受け難いという課題があった。

ActVoice for Pepperは、呼称訓練と呼ばれる、絵を見て、 それが何であるかを回答する訓練を行うためのアプリで、症状に応じた難易度のコースを選び、Pepperの胸部タブレットに表示された絵を声で回答するというもの。表示される絵については、患者の症状の度合いに応じて選択することが可能で、導入先の君津中央病院でも、すでに複数の患者による実証実験を行われており、 患者の言語が改善していることが確認されているという。

一方のリハログは、言語聴覚士が活用するPC用アプリで、これによりPepperでのリハビリ状況を随時正確に確認することが出来るようになるほか、必要に応じて訓練内容を調整することが可能。また、患者ごとの訓練データを収集・分析することで、 リハビリによる改善状況の把握や患者の症状の正確な把握につなげることもできるという。

なお同社では、現状では訓練内容も限られているが、 今後は、より多くの病院やリハビリ施設に利用してもらえるように開発を行っていくとするほか、将来的には、 患者と病院が自宅でロボットを介してつながるような形を模索していきたいとしている。

ActVoice for Pepperを用いた訓練フローの例