GMOクラウドは1月12日、韓国INKA・Entworksが提供する、モバイルゲーム向けセキュリティサービス「AppSealing(アップシーリング)」の日本における独占販売権を取得し、同日より日本国内のゲーム開発者向けに販売開始した。
アプリをはじめとするモバイルゲーム市場は拡大する一方、モバイルゲームアプリの脆弱性を突いたハッキングやリバースエンジニアリング(解析)による、ゲーム内通貨やスコアなどのメモリ値の改変、チート(ズル、騙すの意)ツールの開発、ゲームクライアント(アプリ)の改造といった不正行為が問題となっている。
また、リバースエンジニアリングでプログラムが流出し、模倣版(海賊版)に転用され、見込んでいた収益を得られないといったことも問題視されている。こうした不正行為は課金機会の損失のみならず、正当なプレイヤーからの苦情への対応やゲーム内監視といった運営作業やコストが増加するうえ、手遅れになるとユーザー離脱に伴う収益の低下によるゲームの存続問題にまで発展しかねない。
そのため、不正行為につながるハッキングやリバースエンジニアリングからゲームアプリを保護し、万が一不正な動きが検出された際にもいち早く対策を打てるかが、ゲームビジネスの成否を左右するという。
今回GMOクラウドは、「AppSealing」の日本での独占販売権を取得し、ゲーム開発者向けに販売する。同日より日本語のサービスサイトと問い合わせ窓口を開設し、日本語でのサポートも行う。
AppSealingは、クラウド基盤のモバイルゲームアプリ向けのセキュリティサービス。SaaS型のサービスのため、新たにサーバを構築する必要なく、不正なハッキングやリバースエンジニアリングからゲームアプリを保護することができる。
インカエントワークス独自のセキュリティ技術により、ゲームアプリのプログラムに規定のコードを組み込み、管理画面であるダッシュボードにアップロードするだけで、プログラム全体の暗号化・難読化を実現。これにより、ハッキング(アタック)はもちろん、静的なリバースエンジニアリングからゲームアプリを強力に保護する「シーリング」を行うことができ、ゲームデータやメモリ値(通貨、スコア、レベルなど)の改変によるチート行為や、リバースエンジニアリングによるプログラムの流出などを未然に防げる。
また、万が一ハッキングなどの不正な動きを検知した際は、監視プログラムによりゲーム開発者向けのダッシュボードに通知されるので、いち早く対策を打つことが可能となる。
マルチプラットフォーム対応のゲームエンジン「Unity」で構築されたAndroidアプリに対応するほか、効率化や省力化を図るゲーム開発手法である継続的インテグレーション(ビルド/デプロイ/テストなど)を行うためのツール「Jenkins」にも対応している。
ダッシュボードでは、ゲームアプリの「シーリング」を行えるほか、ゲームアプリの現在のリターンドデバイス(初回プレイから1週間以内に再度プレイしたデバイス)数や、DAU(1日あたりのアクティブユーザー数)、MAU(月間アクティブユーザー数)といった詳細情報を確認することができる。複数のアプリを一元管理することも可能。
価格はリターンドデバイス数に応じて変化する。3000台以下は無料、15万台未満は1台あたり14円、15万台以上は個別相談になるが定額料金(いずれも税別)。また、ゲームのリリース後30日間はリターンドデバイスの台数を問わず無料で利用できる。