Airbnb(エアビーアンドビー、以下Airbnb)は12日、民泊(ホームシェアを含む短期賃貸)における社会課題解決の可能性について、東京大学の2つの研究室と共同研究を開始すると発表した。

同社と共同研究を行うのは、城所哲夫研究室(東京大学大学院 工学系研究科 都市工学専攻)、および東京大学 大月敏雄研究室(東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻)。「民泊の定義の明確化」、「民泊を活用した都市再開発・空き家対策・地方創生・中心市街地活性化手法の検討」、「民泊の地域への効果的な導入において必要となるサービス・技術開発」、「メガイベントや災害など非日常時における民泊の効果的な活用方法」、「これらの取り組みが進んだと仮定した場合の2020年における経済波及効果予測」といった5つの研究テーマを現段階では想定している。

この研究に関しては、本日から約20社の業種(ITサービス業、金融業、建設業、通信業、商社、鉄道業、電機メーカー、不動産業、保険業)をまたぐ「メンバー・オブザーバー」による討議を開始し、2017年5月に中間報告、2018年2月に最終報告を行う予定となっている。同社は、今回の研究結果により、想定される民泊の市場規模と具体的なソリューションを、地方自治体の将来計画策定あるいは同市場に参入しようとする企業に提供できると想定している。

インバウンド、地方創生への対策を民泊から探る

民泊が世界各国で広がりを見せる中、日本においても2020年の東京五輪に向けて国内の宿泊施設不足が予想される中、2017年には民泊新法の制定が予定されるなど、社会変化のタイミングを迎えていると同社は指摘。共同研究では、これらの社会変化を踏まえ、民泊が都市再開発、空き家対策、地方創生、中心市街地活性化等においていかに活用できるか共同研究を行うことで、日本が抱える社会課題を解決する糸口を見つけることを目的としている。

今回の共同研究に参加する城所准教授は、地方都市のイノベーションと活性化のための都市計画論研究を専門とし、様々な地方都市と連携した研究活動を行っている。また、大月教授は、環境問題・高齢少子化・経済低成長を背景とした現在、「すでにある環境をいかにつくり変えていくか」、また「空間のストック」をいかに次世代に継承していくかということに取り組んでいる。

今回の発表に際し、城所准教授は「今日の都市において人と人とのつながりをいかに再構築するか、言いかえれば、まちのシェアのあり方が問われていると感じています。研究会を通じて、このようなまちづくりの新しい方向性を見出していきたいと思います」とコメント。一方、大月教授は「”空間が空いたからリノベして何かに使おう”ということから、”その空間の意味・意義・成り立ちや、周りの環境がもっている価値”にも注目しながらみんなの財産として育んでいく。そのことを通して、民泊という行為に、より深い意味とネーミングを豊かに与えていけるようなことができればいいなと考えております」と語った。