スマートフォンからデスクトップPCまで、多様なツールからアクセスできるタスク管理ツール「Todoist」。ポルトガルの企業が開発したツールですが日本語対応もされていて、活用法について解説する日本語ブログ・Twitterも随時更新されています。日本市場向けのチームが組まれているのかと思いきや、何と日本人スタッフは早瀧正治さん1名だけとのこと。

しかも、今は「旅をしながら、複数企業の依頼を受けつつ、リモートでフリーランスワークをしている」とか。「働き方革命」というフレーズのもとテレワーク(リモートワーク/在宅勤務)が注目され、経済産業省がフリーランス活用を検討している日本のビジネスシーンを先取りするような働き方をされています。

今回は、旅先のポーランドから、現在の働き方や外国で仕事をすることについて、そしてリモートワークならではの「デメリット」まで、赤裸々に語っていただきました。

早瀧正治氏
Todoist日本広報担当者。フリーランスでDigitalriver, Oban Digital, Adapt World Wide, Lionbridgeなど複数の会社と契約し、日本に進出したい海外の企業や海外の広告代理店に、オンラインマーケティングや翻訳サービスを提供している

――早瀧さんは旅をしながらリモートワークで働いているとのことですが、Todoist(企業名:Doist)で働く早瀧さん以外のメンバーの方も、リモートワークで働いているのでしょうか?

早瀧氏 : Todoistのメンバーは50人くらいで、CEO、CTOも含めて、全員リモートワークです。 厳密にいうと、全員リモートワークが可能な状態で、ポルトガルにはオフィスがあるそうです。

ほぼ全員がそれぞれの国で個人事業主登録をして、形だけはフリーランスとして働いております。私も含めて大半の社員がフリーランスですので、Todoist以外にも依頼人がいます。開発チームの一部は専属契約なので、彼らはフルタイムの社員のように働いています。

――リモートワークを採用する企業では、週に1日程度オフィスへ出社することを義務づけていたりもしますが、早瀧さんが旅をされているということは、Todoistにそういった規約は無いのですね。

早瀧氏 : ありません。今回の旅でも、プライベートでWindowsの開発担当に会った以外は誰とも会ったことがありません。

――リモートワークではコミュニケーションが不足するという言説もありますが、早瀧さんの実感からみていかがでしょう?

早瀧氏 : そういう問題はありません。チーム内のコミュニケーションはコストですので、文章で簡潔に済ますのが大切だと思います。

――コミュニケーションのツールとしては何をお使いですか?

早瀧氏 : Twistという、Todoistが開発したスレッド方式のツールを使っています。例えばカスタマーサポートをしているときに分からないことがあったりエラーが見つかったりしたら、「こんなエラーがあるよ」という新しいスレッドを立てて連絡します。特定の人に対応してもらいたい場合はその人をタグ付けすれば、相手に通知が行くようになっています。

――自社ツールでまかなっているのですね。

早瀧氏 : しかし、重要なのはツールよりも個人の能力だと思います。日本は文化人類学では高文脈文化といって、言葉以外の状況、共有された知識、声のトーンから相手の言いたいことを判断することが得意ですけど、それはある程度同じ文化を共有した人同士でしか通用しないんですよね。例えば、ドラゴンボールや2ch由来のネタを外国人との会話で使っても、多くの場合伝わりません。

だから、暗黙の了解に依らず、比喩などを使わずに、言葉ではっきり伝えるということができないと、外国人と働くのは難しいです。リモートワークだとなおさら、文章で表現する力が必要になります。

旅行中のポーランドの写真(提供:早瀧氏)