「サービスとしてのセキュリティ」に向けて販売支援体制の整備へ

シマンテック ワールドワイドフィールドオペレーション担当 シニアバイスプレジデント マーク・アンドリュース氏

国内ユーザーにとって気になるのは、両社の統合により、製品の販売体制やサポート体制がどのように変化するのかといった点だろう。シニアバイスプレジデントとしてワールドワイドフィールドオペレーションを担当するアンドリュース氏は、こう話す。

「今会計年度が終わる3月末までは、シマンテック、ブルーコートそれぞれの販売戦略で進める。4月からは、統合後の1つのチーム、すなわち、シマンテックのエンタープライズチームとして日本国内で製品を取り扱っていく。戦略自体がドラマチックに変化することはないが、今日のセキュリティの動向に合わせて変化させていく必要があると感じている」

現在、取り組んでいるのは、パートナー向けの支援プログラムの強化だ。グローバルレベルで販売体制の統合プログラムを進めているのが、日本のパートナーが、このプログラムにうまく対応できるよう支援している。

「パートナー向け施策は、リセラーパートナー向け、サービスプロバイダー向け、マネージドサービスプロバイダー向けの3つで行われている。それぞれの市場を強化し、それぞれのパートナーの価値が高まるよう、戦略を練っているところだ」

戦略を立案する背景として考えなければならないのは、この2~3年におけるセキュリティ状況の変化だ。アンドリュース氏によると、脅威が高度化、グローバル化し、それに対抗するテクノロジー、スキル、セキュリティ人材が世界的に不足するなかで「セキュリティの使い方」が変わってくるはずだと指摘する。

「セキュリティ対策のための装置や人材を自社で確保することが難しくなってきた。そこで注目されるようになったのがSecurity as a Serviceのような考え方だ。サービスプロバイダーやマネージド・サービスプロバイダーが、顧客に対してセキュリティをサービスとして提供する。既存のサービスをクラウド環境に移行するための支援も重要になってくる」

アンドリュース氏は日本でのビジネス経験も豊富だ。今回の統合で十数年ぶりに日本を訪れ、顧客の声を直接聞く機会を得たが、その過程で、日本のユーザー企業におけるセキュリティ意識が大きく変化したことに驚いたという。

「経営層がビジネス課題としてセキュリティをとらえるようになった。IoTの取り組みが活発化していることや、2020年の東京オリンピックをひかえ、ハッカーからも日本市場に注目しはじめている。グローバルなインテリジェンスと経験で、日本企業のセキュリティの取り組みを支援していきたい」(アンドリュース氏)