Pepperに搭載されている人工知能として「Watson」の紹介された。現在は第3次人工知能ブームだといわれおりWatsonも注目されているが、IBMはWatsonを人工知能とは呼んでいない。人と同じように学び、成長するものとしてコグニティブコンピューティングと呼んでいる。Watsonは人の言葉を認知することが特に得意なシステムだ。
その活用イメージとして、コールセンターでの対応サポート、コンシェルジュ業務の支援、ECサイトでの購買活動支援、熟練者の着眼点や判断基準を取り込んで業務マニュアルとあわせて利用する業務支援、大量テキストをベースにした文書解読支援、顧客ニーズに合う人材を探すマッチングといったものが紹介された。
具体的な事例として、ソフトバンク自身の2つの事例が紹介された。ソフトバンクは現在「Harf & Twice」という目標を掲げている。これは業務工数やコストを半減させながら、生産性や創造性は倍増させようという狙いだ。努力だけでは達成しづらいこの狙いを構築するために利用されているのが、「Softbank Brain」と名付けて開発されているWatsonを活用するシステムだ。
その機能のうち、1つは社員向けの支援を行う「社員サポートセンター」での利用だ。元々社内の問題解決や問い合わせ負担を軽減するために、すべてをワンストップ対応する場として作られた社員サポートセンターだが、利用者が多く負担が増大していた。これをスマートフォンを経由してWatsonを利用することでFAQ的な役割を果たさせ、Watsonが回答できないものだけを担当窓口に割り振るというフローに変更することで、人が対応する件数は90%減少するという。
もう1つの機能は、法人営業への利用だ。こちらは社内のあらゆるシステムと連携して提案をサポートするものとして開発されている。その第一弾が7月から利用が開始された「提案アドバイザー」と「Pepperアドバイザー」だ。「提案アドバイザー」は顧客企業や顧客の状況などを指定して適する提案内容やアプローチ方法などを提案する。「Pepperアドバイザー」はPepperに関する活用情報の提供や提案支援を行うことに特化した機能だ。これを利用することで、経験の浅い営業担当者でも高度な提案が行えるのはもちろん、社内の情報を瞬時に引き出せることによって商談中に新しい商材について質問された時なども即座に対応可能になるという。
両機能ともを中山氏は手持ちのiPhoneから利用するデモンストレーションで紹介。非常に軽快にさまざまな情報が取り出せることや、曖昧な質問から対応策が提案されることなど、Watsonの力が見えるデモンストレーションとなった。