――認定パートナーになった理由は?

フューブライト・コミュニケーションズ 代表取締役社長の居山俊治氏

「Pepperパートナープログラム」ができる前から、Pepperのアプリ開発を行っていましたが、ソフトバンクロボティクス側から、認定パートナーになれば、さらに仕事が依頼しやすくなると勧められて取得しました。認定試験は、事前勉強が必要な試験もあって思ったよりも大変でした。取得後は、ソフトバンクロボティクスの営業さんから、お客様が抱えている要望やニーズを伺ったり、お客様へ弊社を紹介していただけるなど、利点もありました。

しかし、取得しただけでは仕事に結びづらいかもしれません。やっぱり開発実績がないと、受注は難しいと思います。弊社は、「接客」「受付」「インバウンド」「ヘルスケア」の主要4分野の開発実績がすでにあるため、依頼に繋がりやすいと考えています。やはり、最初の実績は自分自身で作るしかないですね。

―― 今後、Pepperに期待することは?

本当は音声認識を活用したいと思っているのですが、高齢者の方のしゃべり方が独特だったり、方言を話される場合に対応しきれないのが現状です。また、話者とマイクまでの距離があるため、雑音が入りやすいのも原因です。使ってみたいですが、まだ実用は難しいですね。

あとは、顔認識の精度も上がってほしいです。人と会った時に「この人はさっき会った」と分かると会話の幅が広がりますよね。会話を始める時のトリガーになるのは、顔の認識だと思っているので、個人を認識できれば、人に合わせて会話の内容が変わりますよね。今後、もっと精度が上がることを期待しています。

―― Pepperのアプリ開発で感じたことはありますか?

正直、Pepperは今まで無かったデバイスなので、やってみて初めて分かる部分が大きいです。そういった意味でいうと、まだまだ発展する余地のあるマーケットだと思います。

よく、新しいデバイスが出ると、「これをどう使おうか」と考える企業が多いですが、方向性が違うように思えます。「ロボットがこういうことをしてくれたら嬉しいよね」「こうあってほしいよね」というビジョンがあり、それに近付けていく方向で考えないと、結局作ったけれど「タブレットでいいじゃん」という世界に陥ってしまう気がします。このあたりを考慮した上で、きちんと作り込めば、新しい世界が広がっていくと考えています。

開発フローも、従来のシステム開発とは違いますね。以前は要件を満たすものを作ればそれで終わりましたが、アプリ開発では、その要件自体があやふやなことも多いです。「明るい感じで」とか「もっと楽しく」という抽象的な依頼もあります。

また、お客様が持ってきた内容をそのままプログラミングしても、面白いコンテンツにはなりません。Pepperのしゃべりの間や会話の内容など考えることも増えました。トータルでアウトプットを出さないといけないため、今までのシステム開発ではカバーしきれない領域に入っている気がします。

――Pepperのアプリ開発のビジネスモデルとは?

現在、外注を合わせて8人で開発していますが、システムの「単価」計算が難しいです。今までは人数や掛かった時間で開発費を決めていましたが、アプリの場合、コンテンツで価格が付けることが多いです。単純に「これだけの人数で開発したからいくら」とは言いづらいですね。お客様側からしても「このシステムの価格は適正なのか」が判断しづらいかもしれません。なので、さまざまな見積もりの取り方を使い分けています。また、アプリ単体で完結するシステムより、サーバシステムを構築して、そのアウトプットをPepperで行う手法が主流です。そのほうが、マネタイズもやりやすいと思います。

――Pepperのアプリ開発を検討する企業へアドバイスをお願いします。

発展途中の市場ですが、「人件費の削減」「集客に繋がる」「顧客の満足度が上がる(来場者が喜ぶ)」、この3つがPepperで解決できる時に、上手くいく気がします。Pepperはアナウンスやルーティン作業が得意なので、そこを生かしてあげることも大切です。今回の介護施設での活用もそうですが、自分の想定外にマーケットがあるかもしれません。2020年に向けたインバウンド施策もありますし、新しい組み合わせを模索していくと良いのではないでしょうか。

――ありがとうございました。