BlackBerry 北アジア担当バイス・ プレジデント テッド・テューダー氏

BlackBerry Japanは7月27日、事業戦略説明会を開催した。BlackBerryはスマートフォンの製造販売に加え、企業を対象としたエンドポイント・ソフトウェアの開発を展開しており、国内でもソフトウェア事業を拡大していく。

BlackBerry 北アジア担当バイス・ プレジデントのテッド・テューダー氏から、ソフトウェア事業に関する説明が行われた。同社はスマートフォンのメーカーとして知られているが、2014年からさまざまな企業を買収して、モバイルコミュニケーションを保護するプラットフォームを提供している。

買収した製品を「Enterprise Mobility Management」「Communication and Collaboration」「Internet of Things」「Identity and Access」という4つのジャンルに分類して、ソフトウェア・プラットフォームを構築している。

日本市場では、「Enterprise Mobility Management」に属する、Mobile Applicaiton Managemen(MAM)製品「Good Work」とMobile Device Management(MDM)製品「BES 12」、「Communication and Collaboration」に属する製品として、Enterprise File Syncronization and Sharing(ファイル共有・同期)ソリューション「WatchDox」と緊急時の通知システム「AtHoc」を提供する。

BlackBerryが買収したソフトウェアベンダー

BlackBerryのソフトウェア・プラットフォーム

Good Workは、標準で提供されるアプリに加え、サードパーティ製アプリ、カスタム開発したアプリをコンテナ化することで、安全性を確保しつつモバイルで利用することを可能にするソリューションで、国内ではNTTドコモなどから提供されている。サードバーティ製アプリは300以上提供されているという。コンテナ化されているアプリのみでデータのやり取りが認められており、許可されていないアプリにデータを渡そうとするとアラートが表示される。テューダー氏は「データは端末に暗号化する形で保存するため、オフラインでも利用できることが特徴」と述べた。

iPhoneからGood Workを利用する画面。赤いカギマークの付いたアプリがコンテナ化されている

WatchDoxは、ドキュメントに対し、DRM機能、モバイルデバイスでのファイルの共有と同期、簡易送信、トラッキング、認証などの機能を提供する。例えば、セキュリティ関連の機能として、透かし機能を設定できるほか、スポットライト機能でのぞき見を防止できる。

テューダー氏は、WatchDoxとGood Secure Suiteの違いについて、「Goodはアプリケーションとアプリケーションの中のデータにフォーカスを当てているのに対し、WatchDoxはドキュメントのポリシーにフォーカスを当てている」と説明した。

WatchDoxの機能

WatchDoxのスポットライト機能

一方、AtHocは「緊急時の情報収集」「デバイスへの緊急通知」「リアルタイムでの位置情報の把握」「他の組織との連携」といった機能を備える。例えば、リアルタイムで位置情報が把握できることから、地図で範囲を指定して、その中にいるユーザーに通知を送るといったことが可能だ。

テューダー氏は、同社のソフトウェアの強みは「すべてのプラットフォーム、デバイスをサポートできること」とし、「われわれのプラットフォームにより、企業の現在のモデル、つまり、従業員のカレンダーやメールといった伝統的なアプリケーションをモバイルデバイスでのみ保護するといったモデルを越えることを狙っている。保護する人の対象を従業員だけでなく、パートナーや顧客に広げ、保護するアプリケーションとサービスの対象をドキュメント、ブラウザ、バンキング、サプライチェーンなどに広げ、保護するデバイスをスマートデバイス、飛行機、自動車、データセンター、テレビなどに広げていきたい」と語った。