レッドハットは7月22日、ストレージ事業戦略説明会を開催した。ストレージ製品全体の戦略については、プロダクト・ソリューション本部 シニアビジネスデベロップメントマネージャー 和田 健一郎氏が説明を行った。
同社はソフトウェアベンダーであるため、SDS(Software-Defined Storage)に取り組んでいくことになるが、和田氏は冒頭で「われわれのSDSを『StorageとComputingが融合したもの』ととらえている」と語った。
同社はストレージ製品として「Red Hat Ceph Storage」と「Red Hat Gluster Storage」を提供しているが、SDS市場の領域において、ブロックストレージとオブジェクトストレージでは「Ceph」により、ファイルストレージとコンバージドインフラでは「Gluster」により、シェア獲得を狙っていく。
販売面では、オブジェクトストレージ分野は国内での競争が厳しいことを踏まえ、SIerや販社と組んでブロックストレージを主戦場として押さえることを計画している。
そして、「Ceph」はプラットフォーム志向の用途、「Gluster」はアプリケーション志向の用途で導入を進めていくことで、住み分ける。Cephはオープンソースのクラウド基盤プラットフォームであるOpenstackとの連携を、GlusterはオープンソースのPaaS「OpenShift」との連携を進めていくという。
和田氏は、同社のSDS市場における強みについて「1つは、オープンソースの強みを生かすことができること。コミュニティでの失敗など、ナレッジをすぐに活用できるなどのエコシステムがある。もう1つはソリューションスタックが連携していること。OS、プラットフォーム、ストレージ、ミドルウェア、PaaS&モバイル、統合管理プラットフォームがそろっており、物理サーバ、仮想サーバ、プライベートクラウド、パブリックラウドにおいて、ストレージの構築を実現できる」と述べた。
テクニカル・セールス本部 シニアソリューションアーキテクト 菅野貴志氏からは、「Ceph」と「Gluster」の特徴が紹介された。同社は、クラウドストレージ、コンテナストレージ、仮想環境のストレージの3つのストレージに対し、両製品を提供していくが、菅野氏は「両製品はアクセスの方法が異なるので、住み分けが容易」とした。
Cephは今年6月に米国で開催されたイベント「Red Hat Summit 2016」で、メジャーリリース「Red Hat Ceph Storage 2」が発表された。新バージョンでは、管理コンソールが一新され、デプロイメントと運用管理が簡素化され、同社が実施したテストによるとデプロイメントに必要な時間が数日から数時間に短縮されるという。また、Glusterと同一画面で管理することが可能になるという。
最小構成(256TB、Premium Support)の料金は390万円からで、提供は8月中旬に予定されている。
一方、Glusterは今年6月に最新版「3.1.3」がリリースされている。3.1.3ではLinuxコンテナでの動作に対応しており、次のバージョン3.2では、OpenShift 3.3との連携が予定されている。最小構成(2ノード、Premium Support)の価格は195万円からとなっている。