楽天がインターネットラジオ配信プラットフォーム「Rakuten.FM」を立ち上げた。コンテンツプロバイダーを広く募って音楽番組やトーク番組などを配信し、将来的には広告を入れることで収益化を図るという。ネットの音声広告市場が成熟していない日本で、同サービスはビジネスとして成立するのだろうか。

楽天がネットラジオ配信プラットフォーマーになる狙いとは

20局のネットラジオステーションが集結

Rakuten.FMはPCやスマートフォンなどのウェブブラウザで聴くことができるネットラジオ配信サービス。楽天が用意したスマホ用アプリでも聴取可能だ。開始時のコンテンツプロバイダー(ネットラジオ局)は計20局だが、順次拡大していく予定だという。放送している内容は幅広く、音楽のジャンルだけでもダンスミュージック、ポップス、ロック、ハワイアン、クラシックと多彩だ。

楽天は自身もネットラジオ局「クリムゾンエフエム(Crimson FM)」を立ち上げ、放送を始めている。同局の運営では、エフエム東京グループのTOKYO SMARTCAST、ジャパンエフエムネットワーク、VVJ(ライツ管理会社)と協力する。クリムゾンエフエムはエフエム東京が立ち上げたデジタル放送「i-dio」でも同時放送している。

Rakuten.FMには計20局のステーションが参加。ちなみに、米国のネットラジオ配信プラットフォーム「Tunein」は、10万局のラジオ局と6,000万人のユーザーを抱える巨大なサービスに成長している。Rakuten.FMがどこまで大規模化するかにも注目だ

日本に残された音声広告市場というフロンティア

Rakuten.FMに参画するネットラジオ局は、このプラットフォームを通じて自らが制作した音声コンテンツを配信できる。楽天は参画するネットラジオ局に対し、将来的に広告配信などによる収益獲得の機会を提供する予定。広告収入をネットラジオ局と分け合うことで楽天は同サービスをマネタイズする。

ネットラジオの収益化を図るには、聴取を有料とするか、音声広告を挿入するのが一般的。Rakuten.FMは無料放送であるため、マネタイズするには広告が不可欠となる。海外ではネット上の音声広告が一般化しており、米国ではネットラジオを含めたラジオ広告市場が1兆円を超える規模に成長しているというが、日本ではこのような市場がほとんど育っていない。楽天が挑戦しようとしているのは、日本のネット上に残された未開拓市場だということができる。