ルネサス エレクトロニクスは6月23日、自動車のECU向け32ビットマルチコアマイコン「RH850」を用いてモデルベース開発を可能とするRH850マルチコア・モデルベース開発環境「RH850 Multicore Model-Based Development Environment(RH850 MBD)」を開発したと発表した。
自動運転システムの実装に向け、マルチコアマイコンとモデルベース開発(MBD)の活用が求められているが、従来のMBDでは、コードの分割やコアの割り当ての探索など、マルチコア用ソフトウェアの実装設計には対応していない、という課題があった。
同ソリューションは、そうした課題を解決することを目的に開発されたもので、イーソルのモデルベース並列化ツール「Model Based Parallelizer(eSOL MBP(仮称))」のオプション製品「eSOL MBP Renesas RH850 PILS Package(仮称)」と連携し、シングルコアでのPILS環境により取得した実行時間をもとに、最適なコア割当てを自動探索することで、MATLAB/Simulinkモデル上で直接、マルチコアの処理能力を効率よく利用するソフトウェア構成を比較検討することが可能になるという。また、モデルベース並列化ツールのコア割当プランや、ユーザが指示する割当プランに従い、コア間同期処理ブロックや、PILS連携用ブロックをモデル上に自動配置して、MathWorksの「Embedded Coder」でRH850用並列ソースコードを生成すると同時に自動構築されるマルチコアPILS環境で、マルチコア特有の並列動作に起因する性能のブレをモデリング段階で確認し、開発後期での手戻りを防いで量産コード開発期間を短縮することができるとする。
さらに同社の統合開発環境「CS+」のデバッガ機能を用いることで、シミュレーション時のサブシステム単位の実行時間を取得し、コア別実行状況をグラフ表示することで、シミュレーション期間中の最悪実行時間となる制御周期の、処理余裕度を確認することも可能だという。
なお、同社では同ソリューションを「Embedded Target for RH850 Multicore(仮称)」の名称で、2016年秋より発売する計画だとしている。