NTTドコモは5月31日、東京無線、富士通、富士通テンと共同で、ドコモの携帯電話ネットワークの仕組みを利用して作成する人口統計に東京無線のタクシー運行データなどを掛け合わせて分析することで、タクシーの利用需要をリアルタイムに予測する「移動需要予測技術」を新たに開発し、交通網の効率化を目指す実証実験を6月1日から開始すると発表した。同社によると、今回の実証実験は世界初だという。
同技術は人口統計や運行データのほか、気象データや周辺施設(POI: Point of Interest)データなどに機械学習といった人工知能技術を適用して、タクシーの需要予測モデルを作成し、現在から30分後の乗車数を予測するという。
同実験では、その予測情報を東京無線のタクシー・ドライバーに音声・文字・タブレットの地図上に分布しての表示などにより提供することで、実運用を通じて有効性を判断するとしている。なお、このタクシー車両の運行データは富士通テンのタクシー配車システムと富士通が提供する位置情報サービス基盤「SPATIOWL(スペーシオウル)」により収集するという。
また、同実験において予測情報の精度の技術検証を行い同技術を確立し、将来的に全国のタクシー会社の運行データを追加することで、多様なエリアでのサービス提供を目指す。そのほか、予測情報はタクシー会社の既存の配車システムと連携し、新たな設備を設置することなく低コストでスムーズに同技術の導入が可能となるように検討していく。
近年、海外からの観光需要の高まりにより、交通需要が高まると予測される一方で、少子高齢化による将来のドライバー不足も想定されている。将来的には同技術を実用化することで、タクシーの売り上げ増に加え、運行効率化やドライバー配置の適正化によるタクシー供給不足の一助となると同社は考えている。
同社は、パートナーと共に新たな価値を協創するという「+d」の取り組みとして自動車をはじめとした交通に関わる各種機器のIoT化の促進と、そこから生じるビッグデータを利用して同技術を高度化し、今後さらに増加が見込まれる交通需要に安定した供給ができるよう積極的に貢献していくとしている。なお、同実験の実施期間は2017年3月31日までの予定であり、実験における各者の役割は以下の表。
企業・団体名 | 概要 |
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東京無線 | フィールド実証におけるタクシー車両の運行 |
富士通テン | タクシー運行データの収集及び提供 |
富士通 | 乗車需要予測値の導出の目的で使用するタクシー運行データの提供 |
ドコモ | 移動需要予測システムの開発、構築及び提供 |