ポータブル3次元計測ソリューションを提供するクレアフォームの日本支社であるクレアフォームジャパンは5月20日、都内で説明会を開催した。同会ではカナダの本社から来日したアジア太平洋地域代表を務めるカール・メルシエ氏が、製造業および3次元計測市場の動向やクレアフォームの強みについて語った。
クレアフォームはカナダ・ケベック州で2002年に設立。以来、右肩上がりに成長を続け、今では世界10カ国にオフィスを構え44カ国でポータブル3Dスキャナなどの3次元計測製品や、製品開発における3Dエンジニアリングサービスを提供するに至っている。2013年にはこの成長に目をつけた分析装置大手のAMETEKによって買収された。
日本支社は2009年6月にオープン、現在はAMETEKの日本法人であるアメテックに統合され、アメテックの事業部門の1つという位置づけになっている。
メルシエ氏は、3次元計測という比較的保守的な分野においてクレアフォームが順調に成長できたのは製造業におけるトレンドに上手く乗れたからだと説明。同氏が挙げた製造業のトレンドは以下の4つ。
・トレンド1. 高齢化の進行
高齢化により製造業で人手が不足するため、それを補う技術が求められている。計測分野では3Dスキャナをはじめとする光学技術が良い解決策になると考えられている。
・トレンド2. 3Dの定着
ゲーム、テレビなどにおける3Dコンテンツや3Dプリンタの普及などさまざまな分野で3Dが定着。既存の手法がデジタル化されている。メルシエ氏は3Dスキャニングは現代の若者に適した製品だとする。
・トレンド3. 製品および製造の複雑化
製品の複雑化に伴って製造手法も高度化。高品質を確保するためより製品にダメージを与えない、洗練された計測手法が必要とされている。また、クレアフォームのソリューションは計測器自体を生産ラインの近くまで移動させることができるため品質管理の効率化が可能。
・トレンド4. インダストリー4.0
データの活用により工場の最適化を目指すインダストリー4.0では、製品情報のデジタル化およびそれを活用したシミュレーションが重要。3Dスキャナは品質管理いおける計測時間を短縮し、そこで得られた情報を製造にフィードバックすることで効率的な品質管理および工程管理に貢献する。
今後については現在売上の25%を占める品質管理アプリケーションの拡大を目指す。クレアフォームはこれまでリバースエンジニアリング向けにソリューションを提供してきたが、リバースエンジニアリングでは開発/設計部門で1つソリューションを購入すれば事足りてしまうため大規模な導入は望みづらい。上記のトレンド3にもあるが、品質管理では生産ラインにおける幅広い活用が可能なため大幅な需要増を見込んでおり、メルシエ氏は「2016年は品質管理の年になる」と意気込みを語った。
クレアフォームのポータブル3次元計測ソリューション
C-Track
クレアフォームの光学式CMM(座標測定マシン)の核となるトラッカ。測定範囲を規定し、範囲内のスキャナ・プローブ、測定対象をリアルタイムに参照することを可能とする。最新版ではキャリブレーションに要する時間を大幅に短縮した。
MetraSCAN 3D
球状の本体に手をいれる形で使用する3Dスキャナ。前世代機は1本だったレーザーを7本クロスさせることでスキャン速度をおよそ12倍、スキャン精度を1.5倍に向上した。また、黒や白黒、光沢のある物にも対応した。このほか、グリップに搭載されたマルチファンクションボタンでソフ トウェアの操作が可能なため、設定変更のたびにPCへ足を運ぶ必要が無くなった。
HandyPROBE NEXT
プローブタイプのCMM。前世代機に比べて精度が2倍に向上したほか、MetraSCANと同様にマルチファンクションボタンを搭載した。ワイヤレスのため測定における柔軟性と広い測定範囲を提供するとしている。