ITインフラのハードウェアの中でも重要な構成要素となるサーバとストレージ。両製品とも名称は聞いたことはあるが、実際にどのような部品で構成されているかなどの基礎知識については、おろそかになりがちなのではないだろうか。今回、日本ヒューレット・パッカードの協力を得て、同社のExecutive Briefing Centerで両製品の基礎知識について話を伺った。
サーバは主にラック型サーバとブレード型サーバに分類され、ラック型サーバは高さと幅が決められており、高さが1.75インチ、幅が19インチを1Uとしており、電源ケーブルや冷却装置などは1台ごとに備える。
ブレード型サーバは、ラック型サーバと比較して専用のラックに電源ケーブルや冷却装置、外部インタフェースなどを搭載し、複数のブレードが共有している。協力頂いた日本ヒューレット・パッカードAsia Pacific & Japan Region HP Servers Product Managerの山中 伸吾氏は「ラック型とブレード型の根本的な違いとして密度があるが、密度以外の部分では運用管理性が挙げられる」という。
ラック型サーバは1台ずつケーブルが必要のため故障箇所を見つけづらい側面もあるが、ブレード型サーバのケーブルは筐体のみのため迅速に見つけることができ、ブレードを抜き差しすることで修理が可能だ。また、消費電力はラック型サーバは1台ずつに電源を供給するが、ブレード型サーバは筐体のみのため、ラック型サーバと比較して5~10%の電力効率の向上が図れるという。
サーバは導入後の運用管理と故障率の低減がポイントとなり、サーバで使用した電気は熱となるため冷却ファンを付属し、排熱を考えるための熱設計は重要だという。下記写真のえんじ色部分は電源を入れたまま故障交換が可能なホットプラグで、冷却ファンも電源を入れた状態で交換できる。さらに、RAIDコントローラは複数の外部記憶記憶装置をまとめて1台の装置として運用するシステムとなり、ディスクやデータの管理を行う装置だ。
メモリはパソコンと違いはないが、メモリに誤った値が記録されていることを検出し、正しい値に訂正することが可能なメモリモジュールであるECC(Error Checking and Correct)により、チップが故障した場合に稼働を継続する機能を備える。ネットワークについては、ラック型だと台数を増やせば増やすほどケーブルの数が多くなっていくが、ブレード型はブレードを増やしても筐体の中でまとめることができる。
このように2つのタイプを比較するとブレード型サーバのメリットが目立つが、ラック型サーバのメリットは小規模の環境でスタートできる点が挙げられる。
HPEでは、サーバの技術開発において熱と電力に注力しているという。山中氏は「動くサーバは作れるが、長く稼働するサーバを作るには熱と電力といったアナログな部分の投資が一番大切だと考えている」と語る。
近年、ユーザーがサーバに求めているものはインメモリデータベースをはじめメモリを大量に入れるニーズがあり、これまでデータベースはディスクベースだったが、メモリ上にデータを置くことが主流になっているほか、クラウドを自社で構築するユーザー向けにサーバの設定などを全自動で行う機能などを備える機種もあるという。