シャープは14日、モバイル型ロボット電話「ロボホン」の販売を開始すると発表した。本体価格は19万8000円(税抜)、利用に当たって契約必須のクラウドサービス「ココロプラン」が月額980円(税抜)。その他、任意契約の「モバイル通信」が月額650円~、保守サービスの「ケアプラン」が990円~(いずれも税抜)。発売日は5月26日で、本日より通販サイト「robohon.com」などで予約を受け付ける。本稿では、発表会の様子と、同会場で行われた実物展示の写真をお届けする。

モバイル型ロボット電話「ロボホン」

「ロボホン」は、ロボットクリエイター・高橋智隆氏(東京大学先端科学技術研究センター特任准教授、ロボ・ガレージ代表取締役)と共同で開発された、同社によれば世界初である「モバイル型ロボット電話」だ。「ともだち家電」、およびスマートフォン向けの「emopa機能」など、既存製品に用いてきた人工知能(AI)技術やセンシング技術、音声認識技術などを応用している。

モバイル型ロボット電話「ロボホン」

身長は約19.5cm、体重は390g(身長・体重という表現は同社発表情報に準拠)で、同社によれば「人型のロボットとしては小ぶりのサイズ」。CPUはスマートフォン用のQualcomm snapdragonを搭載。OSはAndroid5.0、ディスプレイは約2inchQVGA、カメラは約800万画素CMOS、頭部には新開発のフォーカスフリー小型プロジェクター(HD(1280×720)相当)、背面には約2.0型QVGAディスプレイ(タッチ機能搭載)を備える。

頭部にはプロジェクター(HD(1280×720)相当)を搭載し、撮影写真を壁面などに投影してスライドショーを上映することも可能

専用の小型サーボモーター(Rサーボ)を1体に13個搭載

また、ロボホン専用に小型化したサーボモーター(Rサーボ)を1体に13個搭載することに加え、GPSや照度センサ、9軸(地磁気、加速度、ジャイロ)といったセンサーを内蔵。主たる操作を音声対話で実現するUIを採用しており、それを稼働させるための専用クラウドサービス「ココロプラン」が加入必須となっている。このクラウドサービスによって、対話機能だけでなく、気象情報など各種情報のアナウンス、ユーザー情報の記録、機能追加などに対応する。

モバイル型ロボット電話「ロボホン」

ロボットクリエイター・高橋智隆氏

発表会に出席した共同開発者・高橋智隆氏は、ロボホンを「プロモーションビデオの中でしか見たことの無かったような製品」と評し、「個人的には初代iPhone以来のイノベーション」と考えているとコメント。昨今盛んになっているクラウドファンディングやハッカソンなどによって、個人や中小企業がイノベーションを起こす潮流を例に挙げつつ、ロボットは広範な技術が必要となるため、大規模な展開が必要なものであると言及した。

また、約15年ロボット開発に携わってきた高橋氏が、「いまだにロボットが普及したといえない状況であるのは、ロボットに足りないモノがあるから」と明言。「十分な性能の製品」、「知性(同氏は通信の機能と定義)」、「ビジネスモデル」、「(利用に際しての)役割」がその足りない要素であると列挙した後、その一方で、現状普及しているスマホにも、ほぼ欠点の無い製品であるため大きな変化は望めないという「将来性」、そして利用者の愛着が欠如していると指摘。「肌身離さず持ち歩いているのに、われわれはスマホに対して愛着を持てていなかった」と言い添えた上で、「ロボットとの共生は、家事ロボットのような姿ではなく、情報通信端末の延長線上にあります。たとえば『魔女の宅急便』のジジなどのように、小さくて物知りな、相棒のようなロボット。それがロボホンだと思っています」と語った。

「ロボホン」は呼ぶとユーザーの近くまで歩いたり、ダンスを踊ったりもする

写真撮影の際は、周囲の人間の顔を認識した後撮影モードに入って、シャッターを切るにあたって声かけも行った

実際に電話のように持つと、スマホというよりはファブレット(スマートフォンとタブレット端末の中間程度の大きさの端末)に近い印象を受ける

ロボットの開発全般についても、「(人型ロボットについて)等身大にしたり、人が乗れるようにしてほしいなど、もっと大きくしたいという要望は多かったです。ですが、大きくすると相対的に(動作が)"おバカ"に見え、期待値を下回る危険があるのです。これまで小さくしてほしいという要望はまずなかったのですが、(ロボホンのような小さな製品は)満足度が相対的に上がります」と言及。そして、締めくくりの言葉として、ロボホンを「スマホとの2台持ちを経て、スマホに取って代わる製品」だと明言した。

パートナー企業と、発表会段階で公開されたロボホン専用アプリ

なお、ロボホンは月産5,000台を予定。アプリはAndroid向けのものではなく、提携企業による独自アプリをクラウドサービス経由で利用する。APIの一般公開については「現在検討中」ということだ。