コカ・コーラ デジタルマーケティング3.0とは

同社が考えるアプリを介したマーケティング戦略。その一つに、ドリンクを購入した段階で、スマホを通じて、購買情報を取得できることが挙げられる。いつ、誰が(正確にはアプリごとに振られたIDを取得)、何を買ったのかがわかるようになる。

これによって、ある人がコーヒー好きで"ジョージア"ばかり買うのであれば、その人に向けて映像やテキストコンテンツを配信できる。そこには、他社商品との組み合わせ、たとえば飲料とそれに合うお菓子といった組み合わせも提示でき、新しい価値提案を消費者のスマホに直接届けられる。

マーケティング上のターゲットは、メディアリテラシーを持った10代後半から40代の男女。「10代にリーチしようと考えると、テレビだけでは訴求しづらくなっている」(日本コカ・コーラのマーケティング本部の豊浦洋祐統括部長)とし、課題解決のツールとしてアプリを位置づけたいようだ。

飲料メーカーが直面する課題

日本コカ・コーラでは、商品訴求の浸透を狙いにするが、もう一歩、踏み込んだほうが物事の核心に迫れるだろう。自販機の飲料ビジネスは年々厳しい状況に追い込まれており、その打開策としたいという思惑も感じ取れるからだ。

コンビニのカウンターコーヒーが登場するなど、自販機にはライバルが多数

一般社団法人 日本自動販売機工業会の調査結果を見ると、2014年末における自販機の普及台数は220万台ほど。台数こそ近年は横ばいをたどっているが、飲料自販機(缶・ペットボトル)の売上は冴えない。2010年末は約1兆9,700億円だったが、2014年末には約1兆8,700億円までに漸減。つまり、1台当りの売上は減少傾向にあるわけだ。

その理由として、挙げられるのが販売チャネルの多様化である。コンビニが出店数を増やし、カフェチェーンも増えた。ネット通販でも飲料を安くまとめて買える。少子高齢化も若者がメインターゲットになる炭酸飲料にとって明るい話ではない。コーヒーに限れば、2013年からのコンビニのコーヒー市場への参入も自販機での需要を減退させる一因となっている。