テレビゲームをテーマにした企画展「GAME ON~ゲームってなんでおもしろい?~」が、5月30日(月)まで日本科学未来館にて開催中だ。

日本科学未来館。ダイバーシティのガンダムからも徒歩5分程度で着く

同企画展は2002年に英・ロンドン市のバービカン・センターでの開催以来、世界中を巡回。200万人以上を動員してきた。今回は「ゲームってなんでおもしろい?」をテーマにオリジナルコンテンツを多数追加し、ゲームの進化を一望する展示をとりそろえている。

会場では1972年の「PONG(ポン)」や、日本でも大ブームを巻き起こした「スペースインベーダー」をはじめとする貴重なアーケードゲームの筐体がせいぞろい。家庭用ゲーム機の数々やスマホゲーム、最新のVRゲームに至るまで、ゲーム創世記から現代のゲームまでを一気に体験することができる。展示された総タイトル数は135点。うち133点は実際にプレイすることができるのも魅力だ。

開催に先駆けて行われた内覧会に参加できたので、会場の模様をレポートしていこう。

日本科学未来館の内田まほろ氏

元月刊アスキー編集長の遠藤諭氏

内覧会記者発表に登壇した日本科学未来館の内田まほろ氏は、同企画展について「ゲームはテクノロジーと人間の"勝負したい"とか"うまくなりたい"とか"楽しみたい"という欲望が入れ子になり成長したカルチャーであり、ゲームが私たちとどう関わっているのかを考えたい」と趣旨を説明する。

また、企画展のサポートとして参加した元月刊アスキー編集長の遠藤諭氏も登壇し、「僕らはゲームと一緒に育ってきたので、誰もがゲームの専門家みたいなところがある」と述べ、「ゲームは人間を相手にする専門のシステム。ITのモチベーションはコミュニケーションと言われるが、それはゲームがやってきたこと」とゲームの社会的な意義について強調した。

今回の企画展は135点が展示され、うち133点がプレイアブル展示。77点が日本のタイトルとなっており、これは贔屓目なしに選んだ結果だという。遠藤氏は「最大の懸念は(遊ぶのに夢中で)帰らない人がいるんじゃないかということ(笑)」と冗談を飛ばして笑いを誘った。

さて、ここからは実際に会場を回っていこう。

会場入り口

足を踏み入れると、壁にはゲーム機のボタンを模したオブジェが

貴重な筐体も展示されている

ほとんどのゲームがプレイアブルだ

テーマごとにエリアが分かれている

企画展の会場は、テーマごとに分けられた複数のエリアで構成されている。ステージ1のテーマは「プレイの誕生」。1971年に世界で初めて作られたアーケードゲーム「コンピュータースペース」をはじめとするゲーム黎明期の筐体がずらりと並んでいる。

続くステージ2は「ゲームセンターでプレイ」。日本で大ブームとなった「スペースインベーダー」や「マリオブラザーズ」、さらに「ストリートファイターII」や「Dance Dance Revolution」など各時代を象徴する名作アーケードゲームがプレイできる状態で設置されている。現在でも続くシリーズの原点を、当時のままの筐体でもう一度プレイしてみるのも面白い。

世代なら感涙!?

もはや伝説となった「スペースインベーダー」

ストリートファイターII

Dance Dance Revolution

ステージ3は「いろいろプレイ」。家庭用ゲーム機の登場でプレイのたびにお金を支払う必要がなくなり、ゲームは一気に多様な進化を遂げていった。ここでは「思考型」「アクション」「シミュレーション」の3つのタイプに人気ゲームを分類し、展示している。

家庭用ゲーム機のソフトが並ぶ

数十年の進化が隣り合わせに

最新のゲームと古いゲームが隣り合わせに展示されているのもユニークだ。タイムマシンに乗った気分で数十年の時を一気に超えることができる。今や語り草にもなった「鉄騎」専用コントローラーは圧巻だ。

一部の人が泣いて喜びそうな鉄騎専用コントローラー

ステージ4は「おうちでプレイ」。家庭用ゲーム機の進化を一望できる展示だ。ファミコンやプレイステーションといったハードはもちろん、黎明期に発売されていた様々なハードが展示されており、家庭用ゲーム機がどんな流れを経て現代に行き着いたのかが見て取れる。ファミコンに熱狂した小学生も今や30~40代。子どもと一緒に童心に返るのもいいだろう。

家庭用ゲーム機の進化の流れを一望できる

著名人からのメッセージが流れる映像コーナー

ステージ5は「どこでもだれでもプレイ」。古くはゲームウォッチやゲームボーイから、プレイステーション・ポータブル、ニンテンドーDSに至るまでポータブルゲームの進化を知ることができるエリアだ。ずらっと並べられたゲームウォッチに涙する大人も多いのでは。

新旧のポータブルゲームが並ぶ

懐かしい! と思う大人も多いのでは

ステージ6は「アートでプレイ」。過去の名作がどのようにして誕生したのか、そのコンセプトスケッチやデザイン資料、マーケティング資料、音楽資料などが展示されており、大人にとっても興味深いエリアとなっている。

どんなふうにして名作が生まれたのか、膨大な資料から学ぶことができる

ステージ7は「作ってプレイ」。「マインクラフト」などをはじめ、誰もがゲームクリエイターになれる「作るゲーム」にスポットを当てたエリアだ。

本企画展では、この「マインクラフト」を体験することができる。内覧会で実際にプレイしてみた。

実際にプレイしてみよう

「マインクラフト」は様々なブロックを組み合わせて建物や自然などを作り上げることができるゲーム。作った後は実際に歩いて回ったり、配置したアイテムを集めたりできる。本企画展ではこのマインクラフトで日本科学未来館を再現。内部まで精巧に作られており、ただ中を歩くだけで楽しい。普段は入れないスタッフ専用のエリアにも、マインクラフトなら自由に出入りできる。

マインクラフトで精巧に作られた日本科学未来館

この中を探検して宝箱を探す

体験では、このマインクラフトで作られた日本科学未来館の中にある4つの宝箱を見つけてアイテムを集めるというミッションを実行する。見つかると何が起きるのかはお楽しみだ。

ステージ8は「みんなでプレイ」。インターネットの普及により当たり前になったマルチプレイ、そしてそこから生まれたコミュニティに注目し、リアルとバーチャルの垣根を破った新時代を象徴するゲーム「Ingress」も紹介している。

リアルとバーチャルの境界を超えた「Ingress」

実際に楽器を演奏している感覚で遊べる音ゲー

体感型のゲームは大きな進歩を遂げた

最後は「ネクストステージ」。"未来をプレイ"をキーワードに、VR(バーチャルリアリティ・仮想現実)やAR(拡張現実)など、現在注目を集める次代の技術を体験できる。

VRを体験してみた

内覧会で筆者が体験したのは、VRを活用した対戦ゲーム。ヘッドギアをつけたプレーヤーが怪獣となり、他の3名がヒーローとなって対戦する。ヘッドギアをつければ、そこには360°違う空間が広がり、まるで自分が別世界にいるかのような疑似体験ができる。これがVRの醍醐味だ。怪獣役となった筆者も夢中で頭を振り回してしまった。VRの経験がない人はかなり驚くと思う。最新のテクノロジーをぜひこの機会に体験してみてほしい。

ヘッドギアをつけたプレーヤーが怪獣役となってヒーロー役のプレーヤーと戦う

景色が360°広がるので没入感がすごい

「GAME ON~ゲームってなんでおもしろい?~」は3月2日から5月30日まで日本科学未来館で開催中。開館時間は10:00~17:00となる。