業務ソフトウェア「弥生シリーズ」を提供する弥生は1月19日、同社が掲げる「会計業務 3.0」の推進施策に関する記者発表会を開催した。電子帳簿保存法の改正によって見直しされたスキャナ保存制度への対応について、同社の代表取締役社長を務める岡本浩一郎氏が説明した。

弥生 代表取締役社長 岡本浩一郎氏

同社では、外部取引データを会計(仕訳)データに自動で変換する「YAYOI SMART CONNECT」を2014年7月から提供してきた。これにより、銀行やクレジットの明細、請求書データなどを、弥生会計のラインアップ(弥生会計 16、弥生会計 オンライン、やよいの青色申告 16、やよいの青色申告 オンライン、やよいの白色申告 オンライン)に取り込むことが可能となった。

これまで、転記や集計といった会計業務は自動化されていたものの、証憑整理や伝票入力などは手で行う必要があったが、「YAYOI SMART CONNECT」によって、証憑整理から伝票入力、転記、集計までを自動化することができるようになり、これを同社では「会計業務 3.0」としている。

会計業務の進化

今回さらに、外部取引データの取込に加えて、レシート・領収書の「スキャンデータ取込」機能が追加された。同機能は、レシート・領収書をスキャナで読み取った画像からOCR(光学文字認識)処理によって自動で取引データを生成し、仕訳データに自動変換するというもの。

「YAYOI SMART CONNECT」の新機能「スキャンデータ取込」

「店名がロゴの場合、OCRで読み込むことができないが、その場合は電話番号から店舗情報を参照して、反映させる処理をしている」(岡本氏)

取り込まれた領収書画像を画面で確認しながら、登録された内容を確認できる。この手順は省く設定にすることもできるという

勘定科目はシステムの学習機能によって「交際費」などに分別されていく

今年の1月から緩和されたスキャナ保存制度では、電子署名や関連帳簿の電子保存が不要となり、金額制限もなくなったため、これまで制度に対応させることが難しかった小規模企業でも、活用しやすい状況となった。同制度に対応すると、これまで必要とされてきた領収書の原本保存を行う必要がなくなる。

こうした状況下、同社ではスキャナ保存制度の要件に必要な、「タイムスタンプの付与」、「証憑の検索機能」、「承認機能」も2月から搭載するという。

2月にはスキャナ保存制度にも対応

また、同社はスキャナ保存制度の申請・運用を支援するサービスも提供することで、小規模企業の手間や負担を軽減するとしている。申請・運用支援サービスでは、所轄税務署長へ提出する申請書や、適正事務処理要件を満たす社内規定などのテンプレートが無料ダウンロードにて提供される。

さらに、同社はPFUのスキャナ「ScanSnap iX100」を無償でレンタル提供するキャンペーンも実施する。このキャンペーンによって、初期費用0円でスキャナ保存に対応することができる。同キャンペーンの対象者は、「あんしん保守サポート」のトータルプランに加入しているユーザーと、新しく同社製品を購入する起業家および会計事務所からの紹介者となっている。申込期間は2016年12月31日まで。

"スキャナ無償レンタル"キャンペーンの概要

そのほかキャンペーン特典として、協賛企業各社からのサービスも提供される。

協賛企業各社の特典内容

運用費用の面でも、「あんしん保守サポート」の加入者および弥生オンライン製品の利用者は、従量課金での有償提供が一般的だというタイムスタンプも無償で提供される。

「厳密に言うと、『あんしん保守サポート』のサポート料金や、オンライン製品の利用料金は必要となるが、それ以外に発生する費用はない。また、『あんしん保守サポート』やオンライン製品の初年度無償のキャンペーンも行っているため、うまい組み合わせをすると、本当に無料で、われわれのサービスが使え、スキャナがレンタルでき、タイムスタンプを利用することができる」(岡本氏)

今後同社は、春にはPFUの「ScanSnap Cloud」に対応、秋には銀行APIからの直接取込への対応を予定している。また、現在さらに進められている規制緩和にあわせて、スマートフォン撮影対応にも対応していくとしている。

「YAYOI SMART CONNECT」の今後の予定