NECは11月12、13日の両日、東京・有楽町の東京国際フォーラムにおいて、プライベトーイベント「C&Cユーザーフォーラム & iEXPO2015」を開催。展示ブースでは、同社の顔認証技術を活かした最新ソリューションを展示した。

「群衆行動解析技術」

同社では、11月2日にキヤノンマーケティングジャパンと共同で提供する「大規模集客施設運用支援ソリューション」を発表したが、このソリューションはカメラで撮影した映像を、NECの顔認証技術を用いて人を確認。群衆映像から混雑状況や異変を検知する「群衆行動解析技術」などを組み合わせて混雑状況を可視化する。イベント会場では、この「群衆行動解析技術」をデモ。この技術を使えば、事件や事故の早期発見や対処が可能になるという。

予測は30分先まで10万人の人の流れを予測。人の移動能力に応じた目的地までの最適な経路を1分以内に算出することが可能だという。

群集が発生

群集発生を検知

ナイフを持った人から逃げる群衆の検知

防犯目的以外にも、施設全体の来場者の混雑状況や流れを分析することにも利用できるという。

展示会場の各エリアごとの人数を表示し、混雑状況を色別のマップで表示

3秒ごとの通過人数を表示

「まちなか電子案内板」

「群衆行動解析技術」の例として会場で展示されていたのが「まちなか電子案内板」だ。平常時は観光案内や広告宣伝に利用し、災害時には群集を安全に誘導に利用することを想定。冠水センサ、道路の冠水の監視、無人用電子スタンプ、湿度、温度、気圧などの気象関係センサ、無線Wi-Fiスポットなどの機能も搭載する。

「時空間データ横断プロファイリング」

NECでは、11月11日に複数の場所で撮影された長時間の映像データから、特定のパターン(時間・場所・動作)で出現する人物を高速に分類・検索する技術「時空間データ横断プロファイリング」を開発したと発表したが、展示会場ではこの機能のデモも行っていた。 この技術は、顔が類似しており同一人物と見なせる出現パターンを分類し、出現時間・場所・回数等での検索を行う。

例えば、カメラ映像中の「同じ場所で頻繁に出現する人物」や「複数の場所に現れた人物」を発見し、防犯や犯罪捜査など、従来人手ではできなかった新たな知見や気づきを見出すことが可能だという。

検索対象を類似したグループ内に限定することで、カメラ映像中ののべ100万件の顔データを解析し、同じ場所に長時間・頻繁に現れる人物の検索・抽出を10秒と短時間で実現したという。

データを「類似度」でグループ化し、ツリー構造で管理

出現パターンによる検索システム

基本的に犯罪予防用途で、街、駅、施設などの安心・安全を実現したい自治体などがターゲットだという。

予測型意思決定最適化技術

顔認証には関係ないが、同社が11月2日に発表した「予測型意思決定最適化技術」も展示。この技術は、同社が開発したビッグデータに混在する多数の規則性を発見する「異種混合学習技術」などを用いた予測結果に基づき、従来は人間が行っていた戦略や計画の立案といったより高度な判断をソフトウェアで実現するもの。

「予測の外れ方」(予測誤差)のパターンを独自のアルゴリズムで分析し、リスクが低く、安定して高い効果が出る計画を算出することを目的にする。

使用例としては、売上予測に基づく価格戦略(競争力のある店舗を実現)、部品需要予測に基づく在庫・物流計画(無駄のない物流)などがあるという。

予測型意思決定最適化技術