自分の時間を切り売りし、サービスなどを提供したい人と、そのサービスを受けたい人とのマッチングサービス「TimeTicket (タイムチケット)」は、現在盛り上がりを見せるCtoCサービスの1つだ。その開発に影響を与えたのが、レレレが開発・運営する「CoffeeMeeting (コーヒーミーティング)」だという。

CoffeeMeeting サービスサイト イメージ

CoffeeMeetingは、コーヒー1杯を飲む時間を一緒に過ごしたいという人と出会うことができるというもの。接点のない人と出会えることから、多くのユーザーが同サービスに参加。(2015年8月)現在では、4万人を超える会員を獲得している。

「僕自身もこのサービスを使って、多くの人たちとコーヒーを飲んできました。その中で気がついたのが、世の中にはスキルを持っている人が非常に多いということ。また、時間をシェアしたいと考えている人も少なくないと感じたんです。この経験がTimeTicketの開発に大きく役立ちましたね」とレレレ代表取締役の山本大策氏は振り返る。

レレレ 代表取締役 山本大策氏

「世の中には、スキルを持っている人はたくさんいる」という言葉には、説得力がある。その人にとっては「当たり前」だと思っている自身のスキルやノウハウが、場合によっては大きく活かせることがあるからだ。例えば、経理の仕事をやっている人にとって、帳簿をつけることは何でもないことだろう。しかし、会計の知識がないままサークルなどの会計役に起用されてしまった人にとっては、なにより必要としているスキルに違いない。

こういったことは多々あるが、これまでは需要と供給をマッチングすることが難しかった。山本氏は、これをうまくマッチングできれば面白いんじゃないか、と考えたのだ。

サービスのキモは「ホスト」と「ゲスト」をつなぐ "決済" にあった

TimeTicketを利用するユーザーは、時間単位でスキルやサービスを販売する「ホスト」と、それらを購入する「ゲスト」に分けられる。ホストは自分の時間を「チケット」として発行し、そのチケットをゲストが購入するという仕組みだ。各チケットの価格は、例えば30分5000円というように、ホスト自身が値段をつけることができる。支払いは、ホストとゲストとの交渉がまとまったのち、TimeTicket上で処理を行う。

「会社で副業禁止とされているケースは多くあると思いますが、タイムチケットを100%寄付すれば内部規定にも抵触しません。そのため、中にはフリーランスになる前に、自分自身のスキルがどれだけ通用するのか試すユーザーもいる。一方ゲストにとっては、あらかじめサービスの対価を支払うことで、気兼ねなく利用できるという声もいただいています」と山本氏は胸を張る。

TimeTicket サービスサイト イメージ

また、同サービスを運営する際のキモは、決済システムにあるようだ。ユーザーにとって、決済を安全でスムーズに行うことができなければ、利用のハードルが高くなってしまうからだ。しかし、CtoCで利用できる決済システムは、現状ではあまり多いとは言えない。カード会社の多くは以前、オークション系のサービスなどでトラブルに遭い苦い経験をしてきた経緯がある。そんなわけで、CtoCのビジネスモデルと聞くと、首を縦に振らないカード会社は多いというのが実情だ。

「これまで、決済が伴うサービスをリリースしたことが無かったため、この状況には正直頭を抱えてしまった」と山本氏。そこに救いの手を差し伸べたのが、GMOペイメントゲートウェイだ。

GMOペイメントゲートウェイは、クレジットカード決済やコンビニ決済、電子マネー決済、口座振替、LINEPay決済など、さまざまな決済サービスを提供するほか、CtoCのビジネスモデルの経験も多い。すでに多くの企業が同社のサービスを利用しており、トラブルへの対応などのナレッジも蓄積されている。レレレは、GMOペイメントゲートウェイからそのナレッジの提供を受け、TimeTicketでの決済システム構築を実現したわけだ。

「細かいことも相談に乗ってもらい、一緒にサービスを作っていくことができた。おかげで、TimeTicketのサービスインもできた」と山本氏は語る。

スモールスタートでも決済サービスの組込は重要に

山本氏は最後に、GMOペイメントゲートウェイに対し1つだけ不満があるともらした。マニュアルなどは充実しているのだが、決済のためのライブラリがすべて用意されているわけではなく、山本氏の場合はインターネットで公開されているソースをもとに一部スクラッチで開発していかなければならなかったのだ。「お金が絡む部分なので、あまり手組で組みたくないというのが正直なところ。そういう開発者は少なくないはずです」と山本氏は話す。

山本氏は、決済が必要なサービスを作る際のポイントとして次のように語った。「以前は、フリーミアムといったビジネスモデルが流行り、基本的なサービスを無料で提供するのがいいという風潮がありました。しかし最近では、最初から決済を前提にしておいた方が、ビジネスを軌道に乗せやすいということが明らかになっている ―― 今後は、プロトタイプの状態から決済サービスを組み込んでおくというような開発が必要になるのではないでしょうか」。

GMOペイメントゲートウェイとともにTimeTicketを作ってきたレレレ。今後、新しいサービスでもGMOペイメントゲートウェイとの連携が力になっていくだろう。決済が必要なWebサービスを展開したい企業は、レレレのショーケースを参考に、プロトタイプの開発や決済サービスの組込などを行っていくといいだろう。