その後2002年には、現在4万6000社の会員数を誇る「スーパーデリバリー」を開始。やはり業界の問題点や現場の不満を汲み上げる形の中間流通業だ。

その時々に必要とされるビジネスを立ち上げ、成長させて来ているように見える小方氏だが、起業者が成功するための大きなターニングポイントとなるのは、1人目の従業員を雇うところだという。

「自分1人でやっている状態から、誰かと一緒にやるということの間には壁があります。それは1人を養うコストだとか、人を使う難しさという問題ではありません。成功者は養う、使うなどいう言い方はしないものです」と小方氏は語る。

そんな小方氏は、ビジネスに関するアイデアは日々書き留め、その中から選りすぐったものを社員に披露し、意見を聞くというスタイルをとっている。アイデアはいつも持ち歩いている手帳に、日々のToDoなどと一緒に書きためており、完了したToDoと一緒に日々見返して、魅力的でないアイデアは削除していくという。

「もっとこうだったらいいのに、というような思いつきを何でも書いておきますが、夜中に考えたものはダメですね。夜中に書いたラブレターはよくないと言われますが、同じようなものかもしれません。そうして日々書き込み、見返していると何年たっても残っているアイデアが出てきます。それを社員に話すわけです。たいていは笑われますね。その時点では見たこともないアイデアですから、無理だと言われたりもします。それに対して一生懸命説明するわけです」と小方氏。

身近な社員を第一の説得先として熱心にプレゼンテーションを行うことで、アイデアを確かなものにしていくスタイルのようだ。長年一緒に仕事をしている役職者などはすでに小方氏の発想法になれてきていて、早い段階で受け入れてくれるという。

「スーパーデリバリーもそうして始まりました。もちろん、今度スタートするSD exportもです」と小方氏が語る「SD export」は、国内向けの「スーパーデリバリー」のを海外展開するもので、8月25日から134カ国に対応したサービスとしてスタートする。

「134カ国はマーケットとして広すぎて、具体的にどんなものが求められているのかがサービス開始前にはわかりません。当初はいろいろなものを扱い、リサーチを出展メーカーと共有し、ニーズにあった商品を増やしていく予定です」と語る。

「スーパーデリバリー」自体も、小方氏の構想ではもっと多くの企業に利用されるものとして、さらに成長して行けるサービスだという。国内で成長しているサービスを展開する「スーパーデリバリー」を海外展開することで、国内企業にどんな変化をもたらすのか?「SD export」の、今後の成長が楽しみだ。