Tableauを展開するTableau Japan(タブロー)は6月10日、東京都・九段下にて、新バージョン「Tableau 9.0」の発表を記念し、ローンチイベントを開催した。

コンセプトは「Smart Meets Fast」

Tableauとは、「誰でもデータを見て理解できること: Help people see and understand their data」をミッションに誕生した、アジャイル型ビジネスインテリジェンス(BI)ツール。容易な操作性と、高度なデータベース技術を併せ持ち、多彩なビジュアルテンプレートを用意するほか、ExcelやCSVだけでなくさまざまなデータを分析・可視化することができる。

Tableau 公式Webサイト イメージ

同ツールを開発・提供する米タブローは2003年、スタンフォード大学での研究を経て米国シアトルにて設立され、2006年に製品の提供を開始して以来、毎年80%近い伸び率を記録。10月には、ラスベガスにて8回目となる「Tableau Conference 2015」を1万人規模で開催する。

Tableau Japan 代表取締役 社長 浜田 俊氏

「高い成長率ももちろんのことですが、研究・開発投資を積極的に行っていることも弊社の大きな特徴です。通常、上場するIT企業の研究・開発投資は平均で十数%。一方弊社は、他社の倍となる25%もの投資を行っています」こう話すのは、タブローにて代表取締役 社長を務める浜田 俊氏だ。

Tableauのメジャーアップデートは、平均して2年に1度程度となり、さほど多くない印象を受ける。しかし、浜田氏は「徹底したバグの解消と、β版での検証に力を入れてきたからだ」と説明。同氏が参画した2013年以降、製品の不具合にてクライアント先を訪問することは一度もなかったという。

そんな同社が今回のメジャーアップデートにて掲げたコンセプトは「Smart Meets Fast」。流れるように、思考を止めること無く簡単に分析できるツールの実現を目指した。

分析とは、理解するためのプロセスである

具体的には、Excel スプレッドシートなどの乱雑なデータのクリーンアップといった手間のかかる作業を、ほぼ自動で行う「自動データ準備機能」や、マップ機能のレスポンスを向上し、地理検索と投げ縄選択でより掘り下げた分析を可能とする「スマートマップ」、Tableau ServerとTableau Online 9.0のルック&フィールの変更、機能性の向上など。

パラレルクエリやクエリ統合、クエリキャッシュの保存等により、ワークブックもよりスムーズに操作・表示できるほか、データ接続ではSASやSPSS、Rなど既に保有する統計情報ファイルとの接続を実現。既存のコネクタの改良として、β版限定ではあるが、新たにMongoDBとの接続も開始した。

キーノートのデモンストレーションにて披露されたデータ整理の自動化。スクリーン中央に見える「オンボタン」がそれだ

特に、キーノートのデモンストレーションにて披露されたデータ整理の自動化では、日常的に目にするであろうExcelデータをTableauに入れ、画面中程に表示される「データ インタープリターをオン」にすると、nullと表示のあったセルの先頭が削除されるほか、同じセル内にてカンマで区切られた単語も同ツール上で分けることができるのだ。これは非常に便利である。

Tableau Japan セールスコンサルタントマネージャー 並木 正之氏

キーノートに登壇し "日本で1番Tableauを理解している" と評されたタブロー セールスコンサルタントマネージャー 並木 正之氏は「分析とは、理解するためのプロセス」だとする。

「だからこそ、特別な行為としてではなく、瞬時に簡単に行えることが重要です。しかし、このように "無意識に流れるように分析できる状態" は、チャレンジレベルに合った自身のスキルレベルが加わることで実現し、このようなスキルとはすぐに身につくものではない。Tableauはユーザーのスキルレベルを補完する製品であり、今回のアップデートもその点を重視しました」(並木氏)

バージョン9.0により、更なる使いやすさと機能性、パフォーマンスの向上を実現したTableau。日本法人となるタブローも、年内に従業員数が現在の約1.5倍に近づくほか、今夏には人員拡大に対応するため新たなオフィスに移転するなど、今後も成長を続ける見込みだ。