日本で飲まれている日本茶の茶器、デザインはどうですか?

食事や休憩、改まった席など、日本人の毎日に欠かせない日本茶とその器。番茶や煎茶など、普段から飲むお茶によって扱う器を変えている人も多いのではないでしょうか。

私たちにすれば普通のことですが、コーヒーや紅茶が中心の外国人の方からすると目新しい部分も多いはず。そこで今回は、日本在住の外国人20名に「日本で飲まれている日本茶の茶器、デザインはどうですか?」と質問してみました。

■わびさびのあるものが好き。(スペイン/30代後半/男性)
■素朴で質がよさそう。(台湾/40代前半/男性)
■とても和っぽくていいと思う。(イギリス/20代前半/女性)
■和が大好きなので、デザインも大好きです。(スウェーデン/40代後半/女性)
■渋い。(ドイツ/40代前半/女性)
■渋くて伝統的でかっこいいです。(アメリカ/20代後半/男性)
■落ち着いた色を使用しているので好きです。かっこいい。(フィリピン/40代前半/女性)
■好きです。かっこいい。(イスラエル/30代後半/女性)
■かっこいい。(オーストラリア/40代前半/男性)
■かっこいい。(韓国/40代後半/男性)
■かっこいいです。(マレーシア/30代前半/男性)

高い評価が全体を占める結果に。中でも「わびさび」、「素朴」、「落ち着いた色」など日本の文化や個性を通しての感想が目立ちました。

「日本茶」とは一般的に緑茶を指す言葉。「蒸して」熱を加えて酸化や発酵を止め、大体は揉んでから乾燥させるという日本独自の方法です。玉露や煎茶、番茶(ほうじ茶、玄米茶)、抹茶などがあり、器もその種類ごとに使い分けるのが一般的。例えば、高級な玉露は小さめの急須に湯呑み茶碗、日常向けの番茶は大きめの土瓶と手に熱さが伝わりにくい厚手の湯呑み茶碗など…。これは、玉露は低温の湯で入れ少量を味わうので緑の色を透けさせる薄造りの磁器、番茶は熱湯でサッと入れ香ばしさを楽しむため土の質感が残る陶器が向いているなど、そのお茶をおいしく飲む作法との関連性も大きいのです(渋い、落ち着いた色、素朴な印象はこちらでしょう)が多いです。ちなみに常滑焼の急須は酸化鉄を多く含んだ土で製造するため、お茶のタンニンと反応して苦みが取れ、味がまろやかになるという効果もあるそうですよ。

■日本っぽくてよいと思う。(アルゼンチン/30代前半/男性)
■伝統を感じさせるのでいいと思います。(ブラジル/20代後半/男性)
■歴史があるのですごい。(ロシア/20代前半/女性)
■繊細で上品です。(中国/20代後半/女性)
■きれいだと思う。(チュニジア/40代後半/男性)

和の伝統や「繊細で上品」などの印象は、前述したお茶と器の関係性で言えば玉露や煎茶向けの器を指していそうですね。また清水焼や九谷焼、美濃焼、常滑焼、萩焼などに国宝級の作品が存在する抹茶茶碗は、まさに日本の伝統や歴史を感じさせる器。料理人・美食家で有名な北大路魯山人は自ら器もつくったことで有名ですが、料理や茶を盛りつけてこそ成り立つデザインにしていたと言われています。

■種類が豊富でかっこいいと思います。(ベトナム/30代前半/女性)
■柄もたくさんあり、かわいいと思います。(トルコ/30代前半/女性)
■とてもかわいいです。日本らしいデザインでリラックスできそう。(タイ/30代後半/女性)

高級な茶器だけでなく、普段使いで楽しめる湯呑みや夫婦セット、ちょっと上品な蓋付きセットなど、さまざまなデザインが楽しめるのも茶器のよいところです。外国の方であれば、お寿司屋さんで「あがり(食後の緑茶)」をいただく時に出される、寿司ネタが書かれた湯呑みもおなじみかもしれません。また興味深い動きとして、上出長右衛門窯のように伝統的な久谷焼の技術とモチーフにスケートボードなど今風の要素を加えた絵付け作品を出す窯も出てきました。かわいらしさと伝統の融合が若者の興味を惹くデザインとなっています。

日本文化を象徴するわびさびや繊細さを凝縮させた器。茶道の世界では、抹茶をいただいた後に器そのものを楽しむ所作を組み込む場合もあります。そこまで畏まらずとも、単純に自分のお気に入りの湯飲みや器で飲むお茶はおいしいものですよね。そんなデザインを辿ってみると、熱さを手や口に伝わりにくくしてあったり、まろやかさをより感じさせる形状になっていたり、使いやすい構造になっているから面白いもの。そんな日本人の日常と伝統がつくりだしたお茶の器のよさを、アンケート回答者の皆さんはよくご存じのようでした。