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Googleは2015年5月28日から29日にかけて(米国時間)、デベロッパ向けのイベント「Google I/O 2015(https://events.google.com/io2015/)」を開催した。Google I/Oは年に1回開催されているソフトウェアデベロッパ向けのカンファレンス。通常、Googleが開発者向けに提供しているソフトウェアや開発キットなどの新情報の発表などが行われることが多い。基調講演や各セッションの様子は公式サイトで動画が公開されており、誰でも閲覧できるようになっている。
今年は新商品やプロジェクトの発表よりも、これまでの取り組みの成果をアピールしている印象を受けた。これまで発表してきた新サービスは着実に進歩しているようだ。以下、ソフトウェアに関連する注目すべき発表を紹介しよう。
M Developer Preview登場
Android向けアプリやWebアプリの開発者向けに次期OSのプレビュー「M Developer Preview」が発表された。新機能の追加や機能改善などが取り込まれている。特に注目すべきポイントとしては、以下が紹介されていた。
- App Permissions - 新しいリソース保護メカニズム。マイクやカメラといったリソースへのアクセス制御を提供する。
- Chrome Custom Tabs - Chromeのタブをデベロッパがより柔軟にカスタマイズできるように変更。Webアプリでよりネイティブアプリに近いUIを実現
- App Links - アプリとアプリ、アプリとWebなどをよりシームレスに連携させるための機能。
- Android Pay - Android端末を支払いに使用するための機能。すでにいくつかの企業と提携している
- Fingerprint - 指紋認証機能を提供。認証機能として使用できるほか、デバイスのアンロック、支払時の認証機能として利用できる。
- Doze - ユーザのAndroid端末の使用状況をモニタリングし、利用頻度が低い時は同期処理を抑えるといった処理により、バッテリーの持ちを改善する機能。
ソフトウェアの機能ではないが、今後出荷されるAndroid製品ではUSB Type Cが利用できるようになることなども言及されていた。
進化するAndroid Wear
2014年6月に発表されたAndroid Wearに関する発表もあった。Android Wearは主に腕時計型のウェアラブル・デバイスを対象としたAndroid OSベースのオペレーティングシステム。これまでにSamsung Gear Live、LG G Watch、Moto 360、LG G Watch R、Sony Smartwatch 3、Asus Zen Watch、LG Watch Urbaneが販売されている。
Android Wearで提供される新機能としては、以下が紹介されていた。
- 常に時計画面(または任意のアプリの画面)を表示するモードの導入
- アプリの切替を手首のひねりで実施する機能
- 絵文字を手書きで入力する機能
- アクセスリストを簡単に使用できるできる機能
- アプリを起動する方法を拡張
- ヘルスケア向けのモニタリング機能の強化
Android Wear向けにはすでに4000を超えるアプリが提供されており、今後さらに発展が期待される。
BrilloとWeaveでさまざまなものをツナグ
GoogleはAndroid Wearの投入で、Androidが動作するデバイスをスマートフォンやタブレットデバイスから腕時計まで広げたが、同社はよりさまざまなデバイスでAndroid OS由来のソフトウェアを動作させ、さまざまなデバイス、サービス、人を結び付けることを計画しているようだ。そのかなめとなるソフトウェアとしてBrilloとWeaveが発表された。
BrilloはAndroidの低レイヤを抜き出したような構成の必要最小限のオペレーティングシステム。カーネル、ハードウェア・アブストラクション・レイヤ、Wi-FiやBLEなどのコネクティビティ機能、アップデートやクラッシュレポートなどのデバイス管理機能など、最低限の機能が用意されている。必要最小限の機能に絞り混むことで、さまざまなシーンで動作できるようにすることを狙っている。
Weaveはコミュニケーション・レイヤ。Brilloを搭載したデバイス間の通信や、Brilloデバイスとクラウド、クラウドとAndroidスマートション、AndroidスマートフォンとBrilloデバイスといったデバイスやサービスの間のコミュニケーションを担当する。Weaveという共通の通信が提供されることで、より多くのデバイスやサービスがシームレスに連携する効果が期待できる。
Android開発者向けの機能強化
Android向けアプリやWebサービス開発者向けの新機能も発表された。いくつかピックアップすると次のとおり。
- Android Studio 1.3 Preview - C/C++向けデバッグ機能の導入
- Polymer 1.0発表
- Cocoapodsに対応
- Cloud Test Labの提供
- Cloud MessagingにおけるAndroid、iOS、Chromeのサポート
機能面の強化のみならず、収益化を促進するための役立つ機能の導入なども発表された。
それ以外で注目される発表は?
プログラマ向けの機能ではないが、ユーザ支援機能「Now on Tap」にも注目したい。Now on TapはMicrosoftのCortanaやAppleのSiriのようなユーザ支援機能。Now on Tapで適切な答えを得るにはかなり大規模なナレッジベースと推測エンジンが必要になるはずだが、Googleはこれを大幅に強化し、コンテキストを加味した適切な支援を実施するとしている。基調講演で日本語は使われていないため、この機能が日本の文脈で、かつ、日本語音声入力でどの程度実用的に利用できるかはわからないが、今後の発表が楽しみな機能であることは間違いないだろう。
それ以外ではGoogle Photosのストレージ容量の無制限化が大きな注目ポイントだ。同様のサービスを提供しているベンダは上限を設けたり、使用料を定めたりしている。Google Photosはこの市場に大きな波紋を起こしたことになる。今後、競合するほかのベンダがどのような行動に出るのかが注目される。